成瀬巳喜男のごときセンスが光る映画『キャラメル』

映画『キャラメル』

 毎月映画紹介欄を担当させていただいている雑誌『ゆうゆう』が発売中です。
 今回メインに取り上げたのは、『キャラメル』という作品。現在ユーロスペースにて公開中ですが、いやーーーー、これがいい映画なんだなあ。観た後でしみじみ味わい深く思えてくるような佳品だ。パッとした派手さはないものの……まるで、仕立てのよいきもののよう。「縫い」や「染め」のあちこちに、作り手の細やかな意趣と腕が光っている。


 レバノンの映画です。
 けれど、この作品に私は日本の名匠、成瀬巳喜男のようなセンスとまなざしを感じた(監督はなディーン・ラバキーという女の人なんだけれどもね)。レバノンと聞いただけで争いのにおいを感じる方も多いだろうが、これはレバノン初の戦いが登場しない映画なんだそう。舞台は一軒のエステサロン、そこに集う様々な世代、立場の女たちが主人公となる群像劇で……と、詳しくは『ゆうゆう』に書いてます。読んでください。お願い。読んでね。
 配給の方によると、初日は全回立ち見が出たほどの人気だったとか。うーん……一見地味で、日本では馴染みのない監督の作品でも、いい映画って「耳のいい人」がちーゃんと集うんだなあ。なんだか、我がことのように嬉しい。インティメートな人間の感情が暖かく、しっかりと描かれた映画です。お好きな方はぜひ!

ユーロスペースのこの映画のサイトこちら
※公式サイトもあるんだけど……いきなり音が出て「OFF」サイン「SKIP」も表示されないようなので、ここでは紹介しません。


○追記
 表紙は浜木綿子さん。この方を見ると私は小さい頃……「おかあさん、この人なんてよむの。はま・もめんこ?」といって大笑いされた苦い思い出が……。さらに「ええっ、じゃあなんて読むの、はまき・わたこ!?」といってさらに母・フジエに爆笑された……。確か小学2年せいぐらいだったか。あれ以来私は漢字の読みに異常な執念を燃やすようになったかもしれない。私がちょっと国語が得意になったのはすこーし浜さんのお陰かもしれない。ありがとう木綿子。室生亜希子シリーズ、好きでした。


28日更新・こちらもよろしく→「私の渡世・食・日記

○お知らせ
ブログランキングに登録。 どうか1日1クリック↓を。
http://blog.with2.net/link.php?198815
ご意見などはこちら→hakuoatsushi@yahoo.co.jp