滝平二郎、中島梓、石本美由起……此頃の哀悼帖

ご冥福をお祈りします

 先日の姜尚中さんの回、反響が異常によくて驚いてます。
(姜さんの回→こちら


「笑った」「同感」といったメールを続々と頂いております(2通)。特にオノさんという方は、姜先生の初恋エピソードまで教えてくださいました。オノさん、ありがとう! 


 実際に姜先生とお会いになった知人・友人からも情報が寄せられましたが……彼、けっこうクダけたキャラのようですね。考えてみればテレビ界って、大学教授という人々の中から「逸材」を定期的に発掘してるよなあ。確かに「象牙の塔」はキャラの宝庫なのだろう。久々に系譜シリーズでもやってみようかな。


 今日は最近立て続けに聞いた御三方の訃報から、超個人的な哀悼を。


○おくやみ



 まず最初に、滝平二郎さんの訃報から。
 亡くなられたと聞いて、ネットでお名前を検索してみたら、その作品集がズラッと画像付きで出てきた。その瞬間「ああ、これも読んだ……これも読んだ」と、10歳にも満たない頃の記憶がよみがえってくる。
「モチモチの木」「八郎」……どっちも、大きな本だったように思う。めくるのが少し大変だった感覚を今、右手が思い出した。「モチモチの木」のじいさんのやさしい目、孫の頼りきった目、そして「八郎」の強い目……どんどん、思い出される。滝平さんの描く人の目は、みな一重だ。古い日本人の目。私は、おばあちゃんやおじいちゃんが一重だったか覚えていない。けれど、なぜか二郎さんの絵が彼らに重なって、無性に懐かしい。
 ご冥福をお祈りします。



 それから作家の栗本薫さんも急逝された。膵臓がん、まだ56歳。
 私はその作品を読んだことがないが、懐かしの『象印クイズ ヒントでピント』の女性軍キャプテンとして親しんだ。中島梓の名義で出ていらした。司会者だった土居まさるさんも随分前に亡くなられたなあ。ネットで引いてみれば、土井さんも膵がんで58歳で亡くなられている。土井さん呼ぶところの「おっかさん」こと、小林千登勢さんも6年前に死去されて。自分の歳を思う。



 そして、作詞家の石本美由起さんも逝去。私なんかからすると、歴史上の人ってな気がしてしまう。岡晴夫さんですか『憧れのハワイ航路』、それにお嬢・美空ひばりの『悲しい酒』の作詞者なんだものなあ、これぞまさに「生きる昭和史」「歌謡界の大御所」。
 今回のニュースでいろんなことを知った。
 終戦間近、石本さんは病院でぜんそくの治療を受けていたという。そこに慰問に来たのが東海林太郎の一団。その歌声に、病院の雰囲気がガラリと明るく変わったのに感動し、音楽界を志されたのだとか。
 さらにはトリビアな話。『悲しい酒』の一節、
「ひとり酒場で飲む酒は 別れ涙の味がする」
 これですね、横浜のホステスの身の上話からヒントを得たんだそう。名曲の影に名も無い女の不幸あり。
 しかし、凄いヒットメーカーだ。『逢いたかったぜ』(ちあきなおみのカバーが絶品中の絶品)、『哀愁波止場』『港町十三番地』(大好き!)『矢切の渡し』『河内おとこ節』……。
 バイロン、ハイネ、北原白秋を氏は愛されたという。バイロン……恥ずかしながらちゃんと読んだこともありません。ハイネなんて大島弓子の『ハイネ読んで』しか知らない。昔の人は教養が違う。見習います。




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