CM界における真矢みきの「プッシュ力」
何かに憑かれたかのように、真矢みきが物を売りまくっている。
このところテレビをつけて、真矢みきに何かを推薦されない日は、ない。『東京の花売り娘』ならぬ、『東京の販促娘』、それが真矢みき。「娘」としたのは私なりのサービスですよ、真矢さん。いらないかそんなサービス。
しかし真矢……日を追うごとに、「ブツ」が増えていく。最初はアイスだった。
「ハーゲンダッツヴァニラァ…?」
この声、意識的に普段よりも2割増しで鼻にかけていると思う。真矢的な、あまりに真矢的な「サービス」。なんとなく文字を紫にしてみました。真矢みきの夜はむらさき。携帯じゃ分かんないか。
「いつもより余計に“いい声”でお贈りします……」
みきの微笑が見えるかのよう。そしてたたみかけるように販促へ。
○いつの間にか視聴者は「下」に
「あのフワーッと華やかに広がる濃密な香りって他にないですよね……」
たったひとことで何ヶ所褒めているのだろうか。すんごいセールステク。
このCMのすごいところは、
1:いつの間にか視聴者は
2:「真矢さん、ハーゲンダッツおいしいですよねー」と、
3:下から語りかけている設定に
知らずのうちに配されている点だ。いつの間にか我々は「花組のしもべ」のようなポジションに……しかしそれを不自然に思わせない「押しの強さ」、それが真矢みき。
○あなたはえもの
そして次に真矢みきが仕入れたのは、石鹸。その名も「茶のしずく」。
私はこのCMの真矢みきが怖い。
「使ってみて。きっと…分かるから(!)」
これで「買ってみようかな」と思っちゃう人は、人生の折々で「お金ですむことだったら……」「たいした額じゃないもの」「夢を買ったと思えば……ね」なーんて呟きつつ、寂しそうに微笑んだことがある人に思えてしまう。
あの真矢みきの「目」は、落とせる獲物を分かっている「目」だ。ターミネーターのスコープみたいなやつ、あれだったらの右下に赤字で「捕獲可能」って英語で出ていそう。
「あなたの肌、あきらめないで」
このCMでも、いつの間にか視聴者は下の位置に。
「だってあなた……肌の悩み、持ってるんでしょう(隠さなくていいのよ)……」
そう微笑されているかのよう。いや確かにオイリーだけどさ……買ってみようかな。
○そして我々は「下級生」に
そして真矢はさらなる高みに。とうとう「キャッチ」デビューまで。
「ディアナチュラ」とかいうサプリメントのCM。
1:場所はドラッグストア。
2:女子二人が迷っています。
「サプリ、どれにしようかしらん」
3:うしろから颯爽と登場の真矢。
「あなたたち、何使ってるの?」
市場調査を装います。
4:二人に答えるスキも与えず
「私はこれ、○○……」
商品名と効能を高らかに謳い上げる真矢。女子、完全に「ヅカ下級生状態」です。
ここまできたか。
宝塚の元男役は数々CMに起用されてきたけれど、ここまでプッシュの強い方は初めてのような。理想の上司1位というアンケート結果(2009年・産業能率大学調べ)、これがCM起用の第1理由なんでしょうね。麻生さん、インフルエンザの政府広報を真矢さんにやらせたほうがよかったんじゃ……。
さて、次に真矢みきは何を薦めてくるだろう。この人、女相手よりも、男相手の商品のほうがいいと思う。「頼れるねえさんの太鼓判」、これがほしい男って今すっごく多いからね。
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