池田弥三郎 『私の食物誌』
いっこ前の日記にも書きましたが、テレビが壊れると一気に「曜日感」がなくなりますね。
日曜に(自分が)テレビを点けなかったのなんて、ひょっとしたら幼稚園ぶりぐらいかもしれない。自我以前。
『サザエさん』や『笑点』(どうしても家にいるとチャンネル合わせてしまう)が体に叩き込む曜日のリズム、やっぱ強いわ。今日明けて月曜、という気がしない。小倉智昭の叩き込む……(以下同)。
さて最近なぜか、すべての好奇心と探究心が「食」のほうに向いてしまっている。
なんでこのブログも、ちょっと筆が進まなかった。もう一方の「独酌日記」は毎日書きたくて仕方ないというのに。
無理をしても詮無いこと。ちょっとこっちでも、食べもののことを書いてみたい。
□□□□□□□□□『勝手にヤサブロー日記』
池田弥三郎さん。
1914年生まれというから、大正3年生まれ。慶應の先生で、国文・民俗学者らしいんだが……私はその辺の業績をよく存じ上げない。食べることがメッポウお好きなんですね、この先生。食にまつわる随筆を何冊か出してらっしゃるんだが、結構人気を呼んだようで、古本屋街ではよく見かける。
何冊か読んでみたけれど、品のある快い文章に惹かれていた。
先日また一冊、『私の食物誌』という本を見つけて読んでみたら、これがまたオツな本。
365日それぞれ、その日にまつわる食べもの、その日たまたま食べたものなどを書かれた短いエッセイ。
誤解を恐れずにいうと、サービス精神とかまったくないんですね。面白く読ませよう、とかそういう「うがった」視点が皆無。
それが、文章に泰然とした品格を与えている。私のように売れないもの書きにありがちな、「こんな目新しいものが!」「笑わせよう」「なにかくすぐりを」みたいな卑しさがない。元々、深い知識と豊富な経験があるから、見たまま、感じたままを書いても何かがにじみ出る。
池田さんは「食べ歩きの記録ではなく、食の民俗誌でありたい」と末尾に書かれている。季節ごとの旬を見つけては心に浮かんだあれこれを、1日400字ちょっとの文字でまとめたショート・エッセイ。
うーん。
昨日の『美味は別腹』でも重金敦之さんの文章に感じ入ったが……「食の旬」を、平易な文章でありつつ豊かに、そして(ここが重要だが)サラリと、短く書く。
私が一番出来ないことだ。ああ、悔しい。
ちょっと池田さんを、これからしばらく倣ってみたい。池田さんが日ごと題材に取られたテーマで、自分も何か書いてみる。例えば、池田さんの見つめた食の旬が、今はどうなっているのか。その題材を、現在の私はどう思うのか。
400字ちょっとでつれづれに書いてみよう。泉下の池田さんにしたら迷惑だろうが、胸を借りるつもりで綴ってみたい。題して「勝手にヤサブロー日記」。明日からね。
○付記
この花、最近よく見かける。なんというのか気になって調べたら「チェリーセージ」というのだそう。サルビアの仲間だそうです。葉っぱ、生食可能なようですが、あまり使われないとか。
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