『花は桜 魚は鯛 谷崎潤一郎の食と美』
『花は桜 魚は鯛 谷崎潤一郎の食と美』(ノラブックス版)を読んだ。
- 作者: 渡辺たをり
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 文庫
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谷崎の孫筋にあたる渡辺たをりさんの本。谷崎が晩年愛した食模様が詳述されて面白い。四季の食、花見の宴の菜、贔屓の店々…現在では長老格の板前さんが「ちゃん」づけで登場するのも興味深く。また、たをりさんが習らされたという当時の井上流の稽古模様、これが私にはまた印象的だった。
谷崎がたをりさんを命名する際、他の候補が「鳰子(にほこ)」「凪子(なぎこ)」「千沙子」「美すず」だったというのも興味深い。遠野凪子は自分の名前が谷崎センスでもあったことを知っているだろうか。平仮名にしてしまったけれど。
そしてたをりさんの従兄弟には「桂男(かつらお)」「衵(あこめ)」と命名したという。「撓(たをり・たわ)」「衵」という言葉と意味、今回初めて知ったなあ。
そしてこの渡辺たをりさん、夫が「夢の遊眠社」立ち上げメンバーの高萩宏さんなのだそう。おじいちゃんが遊眠社を見たらどう思ったか…ということを書いてあるエピローグも面白く。「玉三郎にも間に合わなかった…」見せたかった、と。玉三郎など谷崎が観たらなんと記したろうなあ。短編でも書いたかもしれないと想像するとワクワクする。
ちなみに、谷崎翁は『ウェストサイドストーリー』が嫌いだったそうです。腹を立てて途中で席を立ったとある。
あと今回、春川ますみが谷崎の葬式で弔辞を読んでいたことを知った。高峰秀子が読んだのは知ってたけど、それほどにお気に入りだったのか、ますみ。近年は一切公の席にお出になってないようだが、お元気なのかなあ…すごく好きな女優さんです。素晴らしいユーモアのある芝居をされる方。
明日は谷崎が愛した四季の食卓の味を、この本からまとめてみたいと思う。
○一日一句
3/11 この日は、詠まずにおきます。
3/12
花びらや梅は近くにあらねども
3/13
二十日後の満開をたのむ花誘い
二十日後と踏みし花見の誘ひあり
誘ひ来ぬ花よいざ咲け二十日後に