ヤ、ヤクをくれえッ!!

本名:ノーマ・ジーン・ベイカー

はい。「ヤク」って言い方からまず反省。 古いチンピラ映画みたいですね。
でも今の私は「ロキソニン」さまのお陰で 生き永らえてます。ホントに。
親知らずを抜いたんだが まあこれが難産だった。生まれて初めての抜歯。
なんかちっちゃいペンチみたいなので、歯を挟んでグイグイ抜くんですね。
21世紀なのに思いっきり原始的なやり方。
おいおい「トム・ソーヤの冒険」に出てくる抜歯法とえらく変わらないじゃないか!
何年経ってると思ってんだぁ!って、そりゃ今は麻酔があるぶん幸せなんだろうけど。
何が嫌だったって、先生がペンチに体重かけて抜き取らんとするときが怖い。
頭蓋骨に響くんですよ、歯根がはがされる「ミシミシッ!」って音が。
うう思い出しただけでも……さぶい。


かくして20分にも及ぶ歯と先生&ミーの闘いは始まった。
いきなり「なかなか取れないなあ…」なんて弱音吐くドクター。
そんなことアンタに言われるとこっちも心配なっちゃうよ。
うちら表裏一体でかからなきゃ駄目なんじゃないの?
バディの気持ちもちょっと考えてよ。


「いやまあこのままでもそんなに差し支えないんですけどね」
なーんて先生10分ぐらい格闘して言い出し休憩する始末。
♪ちょっと待ってよねーえ。工藤静香歌っちゃうよ。
簡単にあきらめないでおくれよ こちとら血ィ流してがんばってんだから。


「じゃあもう一回やろうか」 新婚の初夜じゃないんだからさ、
パッと取って下さいよ頼んますよと、息もタエダエに思っていたら
一発大きい音が 「ミシッ!」と目の裏辺りに響いてスッポリ抜けた。


「出てきたよ! ほら見てごらん、立派でしょう、これじゃなかなか出てこないわけだなあ!」
なんて嬉しそうな先生を見ていると、こっちも立派なやや子をひり出した
母親のような晴れがましい気分になって……くるわけもなく、
追加の麻酔と脳髄に響いた「ミシミシ」に 意識も朦朧と歯医者を後にした。
(ちなみに治療費1170円。こんな安いのか!)


問題はその夜。
ジージージージージーン…
頭ン中竹本孝之「てれてジンジン」流れてるのかと思うほど歯茎うずきまくり。
ああこんなの初めて。 ノーマ・ジーン・ベイカー。 ジーン・ハーロー。
ジーン・シモンズ。 ユージーン・オニール…ああもうくっだらないことしか
頭出てこない。いやそれはいつもか。


「強いお薬ですから規定量は守ってくださいね」
と言われた鎮痛剤「ロキソニン」を我慢できず「しのごのぬかすなあ!」的気分で
1錠飲み込んだ。本当は明日の3時まで飲んじゃ駄目って言われたんだが。
でもそしたらものの3分ぐらいでジーンは我より去った。
おお、「マリリン・モンロー・ノーリターン」。
このネタいったい何人の人がわかるというのか。
ジーンが根本的に去るか、その前にロキソニン
なくなるか。ヤクに頼る私は半端じゃなくそこが怖い。