美の呪力

文字から爆発してます

とある編集者さんに
「ブログ読んでますよ、すごいですねえ」
なーんて言われて嬉しいと思ったのもつかのま
「よくこんな一銭にもならないことやってますね、絶対できない」
などと言われちゃいました。しゅん。


確かにねえ。
電気代考えたらマイナスだしい。
今までだーれからもコメントもらったことないしい。
「今までで一番面白かったのジョスリンね、あの整形女」とか
いうコメントよくもらうしい。(文章でなく写真が面白いってことだよねえ)
はい、ひがんじゃいました。
年寄りでブ男で金もない人間、せめて明るく生きなきゃしょうがありません。
感動した最近の本をご紹介。えらそう。


●『美の呪力』岡本太郎 著 (新潮文庫


芸術は爆発だー!」なんて もう誰も分からないギャグでしょうが、
私にとって岡本太郎というひとは「芸術家」というよりも、
TVでよく目をひんむいていた変わったおじさんという印象だった。
「たけしの元気が出るTV」なんかによく出てたような…。
それが近年、東京・青山にある 岡本太郎記念館のあまりのキッチュさから
(ガーデンのオブジェなんかいいんだよねえ、アーティフィシャルなのにナチュラル。
隣にある IDEEともなんとなく微妙にマッチ。いい散歩コースですよ)
興味がムクムクと湧き、この本を手に取るに到りました。 そして参りました。
すごいわ。


まずカバーですね。 このタイトルにしてこの筆跡。
これですべてが語られているといっても過言じゃない。
最初の何ページかを読むだけで、本当にこのかた
「爆発」し続けていた人だと実感したもの。 美意識、創作意欲、芸術界に取り巻く
ぺダンティックなものへの唾棄……そういったものが渾然一体となって
すごいエナジーになってるのがよくわかる。
すごいパワーでぐんぐん突き進んでいく文章。
「芸術」という、これ不可思議なるサムシングを
彼なりに紐解いていくそのパワーに圧倒される。すごいなあ。
なんていうか…うまれたばかりの目で、いつも世界を見つめているかのような感動が
常にスパークリングしてる感じ。
上質のシャンパンをすいすい飲むかのような快感すら覚えて。
古代より人間がなぜかもってしまう「表現欲」、そして表現された
古今東西の「作品」のあれこれを、自分なりの解釈でぐんぐん理解し、読み解いていく。
かっこいいなあ。古代遺跡的オブジェに自分の論説付けていくなーんて出来ないなあ。
ましてやそれを面白い読み物にしちゃうなんて、とーてい出来そうにないもの。
頭の中で何べんも「YES!」という言葉がはじけるかのような愉悦がある本だ。
ここまで自由闊達に芸術を自分なり理解し、また「これが芸術だ!」という
信念と知識があったからこそ「芸術は爆発だ!」なんて喝破できたのでしょうね。
キャッチなコピーはデスクで生まれるんじゃない、エナジーから生まれるのだ。


美の呪力 (新潮文庫)

美の呪力 (新潮文庫)