戻れる人々−TVオネエ界の強力新人−

宝塚の人ではありません

こないだの「おしゃれイズム」(日本テレビ系)を見ていて
感を新たにしたことがひとつ。


↑「IKKO」さんというメイクアップのかたが
メイン出ていたがセットで出ているのがKABA.ちゃん。
このときのサブタイトルが「カリスマお姉キャラがリアルな恋愛を初告白 」
というものだった。ふーん。
見ていて思ったのだが…… 芸能界でゲイがタレントとして「売れる」ためには
「オネエ」であることと「戻れる場所」があることが必要なんだなあ。
KABA.ちゃんのダンス、IKKOのメイク、カーリーの華道……。
(まあ入れるならトオルちゃんのホラー漫画。このかた、
「ワタシ、女の子が好きよん(はあと)」というコメントを聞くたび痛々しくて……涙)
この方々「別にタレントで食ってかなくてもいいもんね」
という余裕で簡単にキャラ出しができる「余裕感」がウケてるのでしょうね。
そしてその余裕感がないと今のところ、受け手も「ゲイ性」を
心から楽しめないんだと思う。 「メイクさんって多いのよね」
「ダンサーとか美容師とかならしょうがないわ」
なにがしょうがないのか全くわからないが
「そういう世界なら、そのキャラもOK」という、変な境界線引きが
コンセンサスとしてあるんじゃないだろうか。


「坂本ちゃん」がイマイチだったのは (完了形にしちゃ悪いけど)
「この人マジなんでしょ?」という一般の残酷なまでに正直で
リアルな生理的拒絶だったと思う。
俳優さんなんかカムアウトすると役柄せばまるでしょうしね。
歌手なら……あ、いたか(笑)。そういう意味ではTVオネエ界において
「きよ彦」(きもの評論家)とか同類ね。ニット界の貴公子も。
誤解を恐れずに言えば古くは「古賀政男」先生とか 「中村歌右衛門」先生にも
同じニオイがする。「間違いない」オーラぷんぷんだが
本業があまりにも素晴らしいので誰も何も突っ込まず、
本人達も隠す気ナッシングというパターン。
海外で言えばアルマーニのようなタイプか。


朝から我ながらくっだらないこと書いてるなと思いますが
何が書きたかったかというと(なんとここまで前置き)
この「戻れる場所のある余裕オネエ界」に強力な新参者が現われたということだ。
その名は……「市川春猿」(モノクロ写真のかた)。
歌舞伎俳優・市川猿之助門下の女形で笑也に続く人気者だ。
先週だったか「踊るさんま御殿」に出演、そのはじけっぷりは素晴らしかった。
これまたIKKOと並びで登場、(このかた人気ですね)
さんまがIKKOにふってる恋トークにいきなり乱入、
「うちらの場合はねえ……」と言ってさんまを仰天させていた。そのほかにも


春「お手洗いは女よねえ」
I「でも日本だとねえ」
春「あら私は女よ」
I「海外なら絶対アタシもそうだけどさ」
春「だって相手役の方とはちあったら
  興ざめでしょう、私達の世界」
I「なるほどねえ」

これがみなさん20:00ゴールデンですよ。
世の中は変わりました。
それにしてもこの伝統芸能よりの参戦は驚いた。
偉い。何が。すごい。どうして。いや、やっぱりたいしたもんだ。
女形」という「絶対多そう」という世間の認識に対して
「古典芸能」という(良くも悪くも)高みから
まったくその答えを打ち出して来なかった世界から
一人ポーンとやってきた春猿。なぜ今更。いや、今だからこそなのか。
これからのはっちゃけぶりに期待したい。