『失踪日記』(吾妻ひでお:著)

本年度日本漫画家協会大賞作品

この作品がドラマ化されるとの情報を聞いてちょっとビックリ。
吾妻ひでお公式HPで書いてあるから
オファーがあったのは間違いないんだろうが……
できるのか!? やっちゃうのか!? 


失踪日記』は今年の3月に発売になった漫画で
作者の放浪生活(そんななまやさしいもんじゃないが)を描いたヒット作だ。
人間が持つ「社会性」というものや、生きることの「モチベーション」といったものが
知らず知らずのうちに磨耗されてしまっ主人公。
この本は、そんな彼が「蒸発」という荒療治でそれらを再獲得するまでの
ドキュメント・ストーリー。世捨て人になって暮らすうち、
失われてしまった「自我」というものが少しずつ出来てくる。
「働こう」という気になってくる。
名もない存在から「自分」が戻ってくる過程が非常に興味深い。
その描き方には安っぽい自己憐憫が皆無。変にベタベタしてないんですね、
「なんて自分はちっぽけな存在だ」「世の中の人間のホームレスに対する視線が分かった」
みたいな、ありがちな「かわいそうな私・つらいんだ俺」的演出のなさが素晴らしい。
懐かしい言葉だがハードボイルドという言葉を私は思い出した。


しかしそれって今主流のドラマづくりとは
正反対の世界じゃないか!?
どうなることやら。企画の段階で
流れることなんて日常茶飯事の世界だから
製作されるかは甚だ疑問だが……うーん、
みたいようなみたくないような。


吾妻ひでおホームページ>
http://azumahideo.nobody.jp/schedule.html