ハードボイルドな漫画・「失踪日記」

この作品のすごいところは
自己演出・自己脚色を一切排除して描いているところだと思った。
ホームレスをしていたとき、物あさりをしていたとき、
日銭を稼いで酒を飲み野に暮らしていたときに周囲から
「こう見られていた」「こう思われていた」という
表現を極力排除している。
人間の中にある「社会性」というものが、
生きることへのモチベーションというものが
知らずのうちに磨耗されて、消耗してしまったときに
「蒸発」という荒療治を経てそれらを再獲得した男の
「ドキュメント」としてたいしたものだと思った。
甘ったるい感情論や憐憫の情に訴えるような子供っぽい表現ゼロね。
懐かしい言葉だがハードボイルドという言葉を私は思い出した。