歌舞伎座建て替え

となりの「暫」のカレーはまあまあ

随分間抜けなタイミングですが
2週間ぐらい前に
歌舞伎座建て替え」のニュースが発表されました。
聞くところによると
ずーっと前から懸案はあったそうですが
とうとう本決まり。
私は「ああ、やっとかい」ぐらいの感想でしたが
ここにきて私の周囲から「もったいない……」「どうして!?」との声をよく聞く。
みんなそんなに歌舞伎好きだったっけ? ってぐらい。
聞けば「入ったことはあんまりないが、あの景観は好きだった」
「あの景色が銀座からなくなるのが淋しい」との意見多し。
ふーん、結構センチメンタル。


銀座はここ10年ぐらいですっかり古いビルがなくなったと思う。
プランタン裏あたりの古ビル街などすっかり駆逐されお色直ししてしまった。
今はなき名画座並木座周辺など「地震来たら絶対ヤバイ」ってな感じの、
だけど妙に懐かしく、優しい感じのビルがちょこちょこ残っていて、
その独特の空気が私は好きだった。
並木座小津安二郎特集などを観てから外に出ると、
さっきまでスクリーンに映っていた昭和30年代の丸の内のビルが
すぐそこにあるようで、不思議な気持ちになったものだ。
歌舞伎座のようにシンボリックな古い建物が壊されるよりも、
そんな名もない小さなビルが潰れる方が、
なんだか私にはせつなく思えてしまう。
はい、私もじゅうぶんセンチ(←死語)ですね。


まあねえ、お正月など歌舞伎座の前に
役者のぼりが立ち並び、繭玉が飾られてダーーーッと大きな酒樽が
積まれる光景は確かに雰囲気充分、美しくなくならないでほしい光景だ。
「今の外観をできるだけ残す」と松竹さんもおっしゃってますから、
信じて生まれ変わりを待ちましょう。
中に入ればわかりますがエレベーターもエスカレーターもない
場内、お客さんのほとんどである妙齢の方たちにはつら過ぎますからね。
近代的ないい部分を取り入れつつ、
ノスタルジーな香りをうまく残してほしいと願う
霜月終わり。


●追記
個人的な感想だが……お願いだから
歌舞伎座3階「カレーカウンター」だけは
手をつけずそのまま残してほしい。
あの古臭い、だけどしっかり磨かれてる感じ、
異常に好き。小さい頃親が連れてってくれた
「グリル」ってな雰囲気。
残してくんないかなあ。

あと、小さい古ぼけたビル街は
京橋あたりにご存命です。