映画「戦場のアリア」(4月25日改稿)

「戦場のアリア」

「戦場のアリア」http://www.herald.co.jp/official/aria/
(2005年 仏・独・英合作)
監督:クリスチャン・カリオン 出演:ギョーム・カネ
ダニエル・ブリュールダイアン・クルーガー
ベンノ・フユルマン、ゲイリー・ルイスほか
GW、シネスイッチ銀座恵比寿ガーデンシネマにてロードショー


「戦争」ということ突き詰めて考えると、「個」と「公」の問題に行き着くと私は思う。「私」としては、死にたくも家族と離れたくもない。
しかし「国民」としては、義務から逃れるわけにはいかない。
そんなアンビバレントを、丁寧に、美しく描いた映画だった。


クリスマス・イブの夜、キリストの誕生を祝う一人のドイツ人兵士がいた。
彼はオペラ歌手。賛美歌を朗々とした声で歌い上げると、
その歌声は近くの敵軍陣地まで響き渡った。その声は、奇跡を起こした。
主の心を思い出したスコットランド軍はバグパイプを奏で、
フランス軍シャンパンをもってそれに応えた。
「今宵ひとときは、憎しみ合いをやめる瞬間にしよう」そんな思いのもと、
将校たちは歩み寄る―――これが映画のクライマックスのシーンなんですが、
ここだけ読むと「ファンタジーだよォ〜」「甘いな」
「本当の戦場ってあんなもんじゃないだろう」と思われる方もあるだろう。
 しかし私はこのシーンに、ある種のリアリティを強く感じた。
いまでは完璧に死語だが、「紳士協定」という言葉が確実に存在した時代の、
男達の「誇り」や「潔さ」というものを、この監督は描きたかったのだなと感じたのだ。


「勝てばいい」「結果を出すためなら手段は選ばない」という考え方は
個人的に嫌いじゃない。結果を出せる人間になってこそ、
そういう打算的で超現実的な考えを否定できると思うから。
しかし、「衣食足りて礼節を知る」というが、
「衣」も「食」も「住」も最低劣悪の状態の中にあっても、
人間とは「かくも崇高な精神」を持つことができる生き物なのだ、ということを
この映画は描いている。そのことに私は涙がこぼれた。
衣食が過ぎるほどに足りても、この将校たちの万分の一も
「人間としての尊厳(プライド)」を持ち得ない大人がいっぱいいる昨今、
見失っちゃいけないことを、思い出させてくれる映画でした。
 

なーんて朝日新聞の投稿欄みたいなクッソ真面目なレビューですね、あはは。
似合わないことしちゃってスイマセン。でも、本当に見終わった後
気持ちいい映画でしたよ。演技陣がどれも好演なんですが、
中でもピカイチはフランス人将校を演じた「ギョーム・カネ」。



国家の大義と、自らの中のイノセントな気持ちに揺れる複雑な心中を見事に表現。
クシャクシャな泣き顔が一瞬J・P・ベルモンドっぽく見えたりもして。
将来の大器、って感じですね。こんなふうに伝統的なコスチュームが似合って、
なおかつスクリーンに耐えうる若手が日本に何人いることか。
そしてカネ夫人であるダイアン・クルーガーのクラシカルな美貌に目を見張りました。



ドミニク・サンダのようなしっかりとした骨格の美で、
近寄りがたい雰囲気は得がたい特性。
ドイツ軍中尉のダニエル・ブリュール
「昔の男」的な、余計なことは言わないし、言えるような器用さもないのだが、
実に誠実に、古風なキャラクターを創造していて素晴らしい。



やっぱり、「女は喪服、男は軍服」が一番映えるね。最後にもうひとつ。
現代最高のソプラノのひとり、ナタリー・デッセーがアリアの吹き替えを
やってるのですが、もうそれがすっばらしくて。感激しました。
クラシック・ファンの方もゼヒ。アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
ゴールデンウィーク公開予定です。


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●今日の一食
大田区・蒲田「歓迎(ホアンヨン)の羽つき餃子」
http://gourmet.yahoo.co.jp/gourmet/restaurant/Kanto/Tokyo/guide/0301/P050680.html



いやあ餃子好きの間では有名なお店でしたが、
本当に美味しかった。蒲田うちから遠いですが、このためだけに
また行きたいですもん。結構なボリュームで(7個で一人前)350円ですよ!!
パリパリの表面ともっちりした皮、肉汁溢れる具の旨味、満足!
あと「特製台湾ラーメン」(600円)という漢方がベースになってるスープが
最高の香り! セットでぜひどうぞ。あとで聞いたら
水餃子もマニアの間では評判とか。くっそう食べ逃した!
近々リベンジだな、マジで。


●追記1:トリノ五輪トリビア


トリノ・オリンピック、とうとうはじまりますね。
小ネタですが、ちょっと書き留めておきたい話が。
J−WAVEで言ってたのでソース・チェックもせず
あくまで伝聞として書きますよ。いいですかみなさん
なんと日本のどこかで「トリノ・カツヨ」さんという方が見つかったそうです。
そしてなんとそのお母様が「トリノ・キン」さんというんだそうですよオッドロキ!
いやまあ……だからなんだと言われればそこまでなんですが。


皇室典範改正と雅子妃をめぐるゴシップ


小泉首相皇室典範改正を凍結。早ッ! 
私は基本的に天皇制に関して「どーでもいい」というスタンスなんですが、
この紀子妃妊娠の「タイミングのよさ」だけに不思議な興味をそそられる。
何かを呼ぶ力は、確かにあるなあ。
 前にブログでも書きましたが「女性セブン」(2月23日号)が早くも
紀子様満願のご懐妊と雅子様のご心情」というタイトルで記事を。
まあすべて憶測でもの書いてる記事ばかりなんですが、
「これで男子誕生なら自分を責められることでしょう……」的論調。
これから女性誌は「おかわいそう……」一色に染まっていくのだろうか。
対して雅子妃バッシングの急先鋒と私が見受ける「週刊朝日」は
皇室報道名物「渡辺みどり」氏のコメントを持ち出して
「小和田家は税金を使うことに抵抗がないようだ」と批判。
一家で別荘で過ごしたり、よく雅子妃と会われる際の警備やらなんやらでの
物入りを「公と民の区別がしっかりついていない。正田家(皇后の実家)は
絶対にそんなことなさらなかった」という点での指摘。
 結論。女性週刊誌もオヤジ週刊誌も次元は一緒ですね。
私は最近、男のほうがウワサ好きだなあ、という感をますます深めている。