サプライズのある「顔」―バナナマン・ライブ

hakuouatsushi2006-08-21

人気小劇団とか、人気お笑い芸人のライブってものがどーにも私は苦手だ。
なぜならその客席の大半は「シンパ」「大ファン」に占められることが多く、
少々つまらなかろうがスベろうが「いーのよ彼らがやってさえいれば」的なヌルい空気、
ヌルい笑いがひしめくことが多いから。もうなにやってもドッカンドッカン、
すべてがブラボー状態ってトコにいるのは……魔夜峰央的表現で言うなら
「マントヒヒに金玉の裏をなめられている」ようなムズガユイ気分なんだなあ。
そんなところで一人ムスッとしてようモノなら「あんたなんで笑わないのよ」的反感さえ生まれかねないし。
「真のファンならつまらないときゃつまらないと言ってやれー!」
「そういう態度が芸人をダメにさせるのだー!!」なーんて心の中叫びつつ憤懣やるかたない2時間を過ごしたことが
過去なんどあったことか……そう、私にとってノレない劇場にいるというのはもう
アウシュビッツ的悲劇」なのだ。


 とまあ、そんなことになったらヤだなーと思いつつ赴いたバナナマンライブ、場所は六本木の俳優座劇場。
チケットは常に5分で完売という評判で、その分熱狂的なファンも多いだろうなー、
「なんでもマンセー」状態だったら怖いなーと思いつつ拝見しましたが、
結果はシンプルにはい、めちゃくちゃ笑わせていただきました。
 ネタや構成は加藤浩次似の美男・設楽統が考えているようで、その作り方は演劇的要素も強く、
セリフも技巧的に見事で驚いた。ひとつのテーマを決めて最初のネタと最後のネタをかぶせて終わる構成、
いろんな伏線を張り巡らせて、最終的にすべてがつながるようなネタ作り……ただものじゃあないね。
 うーん……私結構ファンなっちゃいました。DVD買ってみようかな。
 構成の巧みさもさることながら、やはりキモは相方の日村の、あの独特の様相だ。
設楽の技巧的な部分を一瞬にして超えるような、面白くサプライズのあるニュアンスをフッと出してくる。
なんといういい表情! それはとってもドラマティックで、演劇的な「顔」だ。
フェリーニが生きていたら好んだような、そんな顔。 
 スタンガンを当てられて怯える、という、下手な人がやったらちょっとルール違反なネタがあるのだけれど、
もうねえ、日村が怯えてるというそれだけでおっかしいの。笑っちゃうの。
ゲッラゲラわらってしまうような、根源的でプリミティブな笑い。小さい頃に腹抱えて笑ったような感情を思い出す。
 普通弱いものいじめを見せられても気持ちよく笑えないもんだが、なんだろうねこの可笑しさは。
日村、テレビ的ではないだろうがもっともっと出てきて怯えてほしい。笑わせてほしい。
ぬるいテレビなんかに出てヤギの物真似なんかやってないで、ステージをじっくり育ててほしい。
 一見の価値ありですよ。


●付記
ワンネタにするほど愛情もないのでここに記すが、
パックンマックンのパトリックの最近のギャグには本当に辟易する。
相方に対する愛情のない突っ込みは下品で余りにも攻撃的。バナナマンの万分の一にも及ばないひどさ。
何を勘違いしているのだろう。


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