映画 『クイーン』

ブレア役も好演

 しばらくブログをサボっていたら母・フジエが血相を変えた声で(ヘンな表現だがそうとしか言いようのないテンションだった)「心配するじゃないのッ!」といきなり電話してきた。死んでるんじゃないかと思ったらしい。生きてます。何日かさかのぼってメモ日記やら書きましたが、今日は映画の感想を。


■『クイーン』
 今「美智子皇后」を演じてください、といって引き受ける女優がいるだろうか。そもそも「皇室ドラマ化」ができるできない、という議論はさておき、多くの女優はそんな危険な賭けに乗らないだろうなあ。もうその時点で主演のヘレン・ミレンの意気に感服してしまう。
 映画というのは自分がいくら上手い演技をしても、編集と撮り方でまったくあらぬ方向に作品が進んでしまう恐ろしいツールだ。役者がしっかりした演技をしても、出来上がってるとあら不思議、駄作珍作の類いになってしまった作品は山ほどある。ミレンほどの芸達者がそこを理解してない筈はない。よっほどスタッフに対する信頼があったんだろうなあ。
「ブラボー王室!」的プロパガンダ映画じゃないのだ。現在生きている「女王」という存在を、役者の技能をかけて体内にリクリエイトする……気が遠くなるというか、あまりに「ドン・キホーテ」な演技的冒険。虎穴に入るかのごとき挑戦したヘレン、その成果はアカデミー賞受賞も当然という立派なものだった。「国と結婚した女性」そのオブリス・ノブリージェと日々向き合う「意気地」に、私は心打たれた。
 そして何よりも、今年62になる女性が主演を張る映画が作られていること、そういう映画に需要があることが素晴らしいと思う。成熟した大人の文化だなあ、手放しで褒めてしまう。日本映画界でこんなことがあるだろうか。円熟の演技者たちは日本にもたくさんいる。彼らの演技が(チョイ役ではなく)私はもっと、見たい。
 似過ぎです。


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