日本婦女おかっぱ考
先日、渡辺満里奈が髪型を「おかっぱ」にしていた。
それを見て私は、不思議な感慨に襲われた。いや、それは厳密には「おかっぱ」とは呼ばない髪型なのかもしれない。しかし私の目には、彼女が日本女性著名人のとある「一派」にくみしたように見えて、何か変な気持ちになってしまった。
「おかっぱ」……この髪形の持つ「麻薬性」とはいったいなんなのだろう。
と、ここでいきなり立ち止まるが「おかっぱ」という髪型は前髪をカッツンと作りそろえたスタイル(例:「DESIRE」における中森明菜のヅラ)が一般的なのだろうか。それとも芸能界フォーエバー・ヘアスタイルの筆頭、南田洋子先生のようなボブスタイルも「おかっぱ」と呼んで差し支えないのだろうか。ここでは強引かもしれないが、どちらも一緒とする。
閑話休題。私は驚いたのだ。何に驚いたって、この手の髪型の「吸引力」、その凄さである。あの満里奈もやるのか。満里奈だからやるのか。まあそれはさておき、「おかっぱ」とは誰しも一度はやってみたいと思う髪形なんだろうか……。
特に「おしゃれ+インテリ」層を自負する女たちにこの傾向が強いように思われる。このスタイルの持つ「何となく知的、何となくポップ」なニュアンスが、一部女性陣の心の琴線をかき鳴らしてしまうものなのか。その検証として、芸能界問わずこの髪型を続けてる人、手を染めた人を思い出してみよう。
筆頭はコム・デ・ギャルソンの川久保玲、同様にファッション界からコシノジュンコ、大内順子、秀香、コラムニスト・中野翠、チョコレート信奉者・楠田枝里子、いきなりグーンと年代下がってMEGUMI、そして入れていいのかIKKO……あら、素敵なおしゃれサンプル羅列にするつもりが……。
映画における「おかっぱ・イメージ」に惹かれる女の子も多いだろう。
海の向こうには「ルイーズ・ブルックス」という伝説的な女優が昔いて(トップ画像参照)、それはそれはスタイリッシュな写真がたくさん残っていて、今でも30年代アイコンのひとりだという。
やはり今、三十代の人だと『レオン』のナタリー・ポートマンとか『パルプ・フィクション』のユマ・サーマンなんか印象的に心に残っているのではないでしょうか。
エリック・ロメールの佳作『海辺のポーリーヌ』のアマンダ・ラングレのおかっぱも可愛いかったし、『男と女のいる舗道』のアンナ・カリーナなんてのも映画好きなら思い出すかもしれない。あ、まさか『アメリ』に憧れる人はいないよね(いや……いるんだろうなあ)。
おかっぱ……ここまで考えてみるに怖い髪型だ。それ自体のイメージが強すぎて、一度ハマると抜け出せないものなんだろうなあ。ちょっと似合っちゃったり、評判がいいと辞められないヤクのような髪型なんじゃないか。
大体おかっぱのロングユーザーというのは、えてしてこの髪型の持つ甘さと対照的な強い信念の人が多い。そう、我が道を行くタイプというか、ひとえに強い女性が多い気がする。そんなタイプの女性が選ぶ「おかっぱ」とはすなわち「強いだけじゃないのよ私」「個性トッピングとしての少女性&可愛らしさ」を表しているんじゃないだろうか。
うーん……だから、どうしたというのか。
はい、最後に小ネタめくが、この手の「日本婦女おかっぱ」パブリックイメージを生み出した祖たる女性ってのはやっぱり「岡本かの子」、この方にに集約されるんじゃないだろうか。と、古今東西おかっぱ有名人を羅列してみたかっただけなんですが、オチもないのでこのへんで。
上左から笑顔が眩しい南田洋子さん、いつまでも素敵な秀香さん、黒い手袋が決まってらっしゃるコシノジュンコさん、スカーフがポイントの大内順子さん、そして白を着せたらこの人、IKKOさん、いつまでも繚乱・岡本かの子さん、トリは我が敬愛のコラムニスト・中野翠さんでした。
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