大幅改稿・ミートホープ社長・田中稔氏に想う

ちょっと左とん平にも似てる

 連日、北海道・苫小牧のミートホープ社による牛肉ミンチ偽装事件がトップニュースとして扱われている。特にワイドショーの念の入れよう、なんだか私には執拗なレベルに感じられて、ちょっとビックリ。ワイドショーにおける最大の視聴者・主婦にとって「自分のもちぶん」であるところの「おだいどこ」「家族の健康」に逼迫したトピック、ということも手伝ってるんだろうけどなあ。でも……この時間の取りようって、ただ単に、社長の田中稔氏が「持つ」キャラってことが大きいんだろう。

「もういいよ」ってなぐらい思うツボなコメントを吐露。「消費者も悪い部分がある」「もううちの会社はダメだ」「社員も全員辞めてもらう」責任転嫁、自暴自棄な、ある意味マゾヒスティックな発言を連発。(私が一番ウケたのは「どんな肉でも無駄にせず、ひき肉に混ぜました!」というもの。そうか……この方は日本語が生んだ最大の美徳「もったいない」精神の体現者だったのですね!)
 分かりやすく消費者が「ふざけるな!」とイージーに反発できるキャラなんだもんなあ、コロッケのみならず、視聴者の感情に訴えるダメ対応まで大安売り。かと思うと、説明応対にいそしむ長男坊の会見にいきなり「大丈夫かお前、ちょっとおかしくなっているよ」などと絶妙のタイミングで乱入、錯乱チックに意味不明なコメントで周囲を煙に巻くという「石原真理子」的なテクニックまで……単純に見えて、予想がつかず意表をつく。
 かさを増すためにロールパンを大量に混ぜたり、鴨肉やウサギ肉を混ぜていたり(不覚にもこの事実を知った瞬間私は、「ふーん、美味しそうな気も」と思ってしまいました。でも鳥インフルエンザで暴落時の鴨肉っていうんだからなあ……)、シカ肉に羊肉を使ったりなどなど、まだまだ新たな事実が発覚し続けてるんだもの。弱気かと思えば強気、謝罪から一転開き直り、などなど千変万化なキャラを見せる田中社長巻きこすトピック、皮肉な「ヒット・ニュース」という気がしてならない。
 見つめるべきは本来「罪」それだけじゃないのかなあ……などという「?」が頭を巡るわけですね。うーん、いい子ぶるわけじゃないが、この人の人格や性質まで「こき下ろす」こたあないんじゃなかろうか。
 今、田中社長はまさしくテレビショーにおいて「芸人」に他ならない。しかし、彼は「笑い」の代わりに「怒り」を取る芸人だ。それに対し「こいつ視聴率取れるね」「久々の大型新人じゃん」と持てはやし、ドンドン露出させるマスコミ。この堂々巡りを楽しむ行為だって、充分イヤらしいことじゃあなかろうか。ヒューザーの社長しかり東横インの社長しかり、「これで成功してきたマイ哲学=本音」と「世間的常識と奥ゆかしさ=建前」のバランスの取れない人々というのを執拗に叩く姿も、あまりお上品なモンじゃないと思うんだけどなあ。「もっと世間が怒ること言って」という意図が聞き手からどうしたって見えるんだもの。やるんなら海外タブロイド紙よろしく、もっと徹底的にイヤらしくやったほうが、まだいい。殊更にバッシングを目的とした(私にはそう思える)編集・構成をしておきながら、最後は上品に「モラルが今問われるのです」などというおざなりな言葉をつけられる愚鈍さ(加藤タキと古館伊知郎が最もその傾向が強い)、そこに気づかない人のほうが、私にはよっぽどウンザリだ。


○追記1
 昨日友人が、田中社長指示によるのミンチ肉水増しテクニックを評して、「この人ってさ、出来る奥さんとか節約母さんとか、そーいうカテゴリーの範疇だったら大したアイデアマンだよね」と言っていたのが素朴に可笑しかった。うん、テレビチャンピオンとかで「牛を使わず牛の味を再現」だの「いかに安く抑えつつ美味しさを保つか」みたいなテーマの回があれば、並みいるカリスマ主婦予備軍をおさえて、このオジサンが1位になっちゃうかも。
○追記2
 このニュースを聞いててひとつ疑問。牛コロッケは牛コロッケとして適正価格で販売し、田中稔マジックによる安いコロッケは「ミートコロッケ」とかいう名前で、キチンと裏に構成物を明示、廉価で発売した場合はどうなるんだろう。食べてみてまずまずであれば、そっちを選ぶ消費者って普通にいるんじゃないのかな。牛って書かないで、そーいうやり方を試験的にやってみて売り上げを調べる、って既に行われてたんでしょうかね? そんな市場調査をミートホープがやってたかどうか、私はちょっと知りたい。


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