日本名イントロ考

私は海


 ほんとうにくだらないことを、真剣に角つき合わせて話すのが好きだ。


 この手の遊びに興じられる人も中々いないが、先日久々に立派な大人のバカ3人で、そんなことを語りつくした。満足であった。
 その日の議題は
「どんなテンション低いときでも、一旦掛かりだすと歌いださずにおれない素晴らしいイントロは何か」
 というもの。ああ、くだらない。ああ、たまらない!

 私はかねてから「魅せられて」(ジュディ・オング)「異邦人」(久保田早紀)のふたつを、日本が生んだ最高のイントロとして認識していた。
 私は(私に限るのかもしれないが)この二つのイントロが流れるたびに、ハッとしてグッときて軽くハイになってしまう。そんな曲じゃ全然ないのだけれど、なんとなく「おめでたい」気持ちが心に溢れてくる。「魅せられて」なんて最初の出だし、たった3音しか使ってないのになあ。
 もちろん私はこの2曲を推挙し、概ね賛同が得られた。何度もリバイバルしてCMやらで使われたり、再放送の頻度からいっても、そのクオリティの高さは保証済み。



 しかし、この手の話は大体「日本三大○○」にまとめたいもの。そこからが大変、苦難の夜がはじまった。すいませんボトルもう一本。
 友人Aは強硬に「また逢う日まで」を推してくる。きよ彦……じゃない紀世彦……確かに「晴れがましさ」のあるいいイントロだが先の二つには適わないなあ……却下。友人B は「地味だけど……「恋人よ」(五輪真弓)もいいよね……」遠い目である。何があったのだろうか。確かに「晴れがましさ」だけを追求しているわけじゃないのだ。あのマイナーの極致といったような和音の羅列、問答無用に「はい暗い歌が始まるのよ……」という暗鬱な情感、確かに曲想をイメージさせて見事というほかない。しかし、「魅せられて」「異邦人」と並べるには決定的にインパクトが足りないなあ……保留。
 中森明菜の「ミ・アモーレ」は、と友人A。「魅せられて」同様、レコード大賞に輝く名曲だ。確かに、いい。しかしこの曲って先の二つのような時代を超えたポピュラリティってあるもんなんでしょうか……世代を超えたヒット、という感にかけるような……これも保留。
 その後も「北の宿から」「天城越え」「喝采」「夏の扉」「どうにもとまらない」などと名イントロがドンドコ出たが、どれも決定打にかける。なんていうか、これらのイントロって「助走」なんですね、サビに向けて「ほらほら始まりますよ、さあみんなご清聴!」みたいに期待を膨らませる「音楽イースト菌」みたいなイントロ。
 先の二つのような「サビと独立した完成度」に欠けるんだなあ。そんなわけでこれは宿題になっている。もし道端で私をみなさんが見かけて、ちょっと真面目な顔をしていたら、それはいろんな曲のイントロを考えているんだと思ってください。こんなアホな議題になんていう文字数かけてるんでしょうね私……。


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○今日は何の日
 また涼しい……秋雨前線という言葉がテレビから流れる。早ッ!
 ちなみに去年のこのブログを読み返すと「えらい暑かった」思い出が。うーん猛烈な夏は早足で去り、秋きぬ。そして早足といえば朝青龍が明日帰るのだとか。行ってらっしゃいなのか、さようなら、なのか。
 病人なんだから、ということで加護する方多いが、社会的にうつで休職される人も、きちんと診断書もって会社に事情説明する人が殆ど、という観点で考えればすむことなんじゃないでしょうか。あはは真面目な人みたいなコメント。
 私的にはピーター・オトゥール主演作『ヴィーナス』の試写を京橋、メディア・ボックスにて。わが敬愛の中野翠さんが隣でかなりビビる。が、出るときに「なんだかもったいない」という気持ちになって、「神社のお線香の煙を体の悪いところにかけるババア」のように、中野さんが見てないことをいいことに、中野さんの周りの空気を頭にかけてみた。その後編集・タキザワ氏と銀座「ラ・マリー・ジェンヌ」にて会食。マール・デュシャンという人が作ったミュスカデが美味しかった。