ペットのこと、本のこと

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 椎名誠さんの対談集『いまこの人が好きだ!』を読んでいた。昭和58年に出た随分古い本だが、激しくメモしたくなった箇所があったので、ここに記しておきたい。


――東武動物公園園長(当時) 西山登志雄さんのことば

『ペットを買っている人は一見、動物愛護の精神がつよい、というふうに思われるけど、しかしその多くは実に実に勝手な飼い方をしている場合が多い。
 動物の事情なんかまるで考えない、という人のほうが多いんですよ。
 そういう人が、なにかの事情でそれを飼えなくなると、もうジャンジャン電話してきていらなくなったから引取りに来てくれ、そちらはそういうことをやっているところでしょ、なんていってくるんです』(改行筆者)


 去年公開された津川雅彦、ことマキノ雅彦監督の映画『旭山動物園物語』にも、まったく同じようなシーンがあった。飼えなくなったペットを当然のように動物園に押しつける人が描かれていたが、実話だという。
 椎名さんの本が出た昭和58年といったら1978年。単純に考えて、30年間ずっと日本のペット事情や飼育意識って、あまり変わっていないのかもしれない。

■拘禁ノイローゼのペットたち
 

「自由の反対語はわかりますか? 答えは、『責任』です」
 こんなことを昔、授業で習った。そのときはイマイチよく飲み込めなかった。フーンと暗記して終ったけれど、この件に当てはめると、うーん……納得、よく分かるわ。
「ペットを飼う自由がある」→「飼った以上は責任がある」
 そういうふうに教えてくれればよかったのにな、トウロク小学校のウメヅ先生。八重歯の可愛い先生だった。もう嫁に行っただろうか。下の名前が思い出せない。
 2007年に出た椎名さんの『たき火をかこんだがらがらどん』だったかな、この本の中に、
つながれて飼われている犬の多くが拘禁ノイローゼになっている
 こんなくだりがあったと思う。


 そりゃあ、そうだよなあ。どうしてこのへんのことって、もっと問題にならないんだろう。
「それをいっちゃあオシマイよ」
 ってな「見ざる」「フタをする」「言ってもはじまらないし」みたいな「ま、おいといて」的ムードが意識的に黙殺しているんじゃないだろうか。

 
 この種の話をペット持ち人がの聞いた場合、
「そういう人もいるかもしれないけれど、うちは絶対に違う!」
 そう思う人と
「そうかもしれない。うちの犬は大丈夫だろうか。どうしたらいいのだろうか」
 そう思う人。まっぷたつに分かれるだろう。


 思いっきり推量で申し訳ないが、私はどーーーーーーーーーにも前者のほうが多い社会なんじゃないかと、ネガティブに思ってしまうのだ。ペットも飼っていない私がこういうことをいうのはフェアじゃないかもしれない(かつて、柴犬を飼っていたけどね)。
 タバコを吸わない人が変に感情的に喫煙者を非難するような態度かもしれない。エコロジーをおせっかいに主張してゴミ袋を開けて頼まれもしない分別を始めるような人と同じかもしれないが、どうしても書かずにおれなかった。


■当分よみものに困らない嬉しさ

 話を変えよう。
 そう、椎名誠にハマっているんですねえええ。面白いなあああああ。
 『食えば食える図鑑』(新潮社)を最初に読んで、あまりの文章自体の面白さにモンドリ返りました。ギャハハハハと声を出して本を読んだのは久しぶりだなあ。「ハハハ」でも「フフッ」でも「ヘヘヘ」でもない。「ギャハハハハー」なのである。
 それから火がついたように読んでいる。読みまくっている。こんな面白いものを知らなかったなんて、損をしていたなぁ。
 なんかですね、気持ち悪いたとえですが……ガキに戻ったような気持ちです。『ドラえもん』だったかな、確かのび太には海外に行っている親戚のオジサンがいたはず。その人がたまに帰ってくるといろんな面白い話しをしてくれて、のび太オオヨロコビ。そんな回があった。私の心は椎名さんのエッセイを読むと、完全にそのときののび太になってしまう。


 最近読んだもののメモ。
『ひるめしのもんだい』、『おろかな日々』、『ハリセンボンの逆襲』、『場外乱闘はこれからだ』、『男たちの真剣おもしろ話』、『喰寝呑泄』、『むはの哭く夜はおそろしい』、『いっぽん海ヘビトンボ漂読記』……ああ、やめられないとまらない。
 最近、電車に乗ったり、何かの待ち時間がとても楽しい。


全日本食えば食える図鑑 (新潮文庫)

全日本食えば食える図鑑 (新潮文庫)

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