日本郵政の社長はレディ・ブランチである
20日の日本郵政・西川善文社長の辞任会見、ご覧になりましたか?
私はあの会見を見ていて、『欲望という名の電車』の女主人公・ブランチのセリフを思い出していた。
「私はいつも、みなさんのご親切によって生きてきましたの」
正確じゃないが、確かこんなセリフだ。
この社長、よーーーーっぽど周囲の「みなさん」の好意と厚意に支えられて、今まで生きてきたんだろうなあ。この人の経済人としての手腕も来歴も知らずに書くのは失礼と承知の上ですが、会見の席に座るなり
「(カメラの)音がうるさくて話せない!」
いやしくも「辞任記者会見」の席でこんなこと言ってのけちゃえる神経ってのは……精神的に「お嬢さん」なのだとしか思えない。少なくとも社会的な「男」の発言ではない。
激しくシャッターをたかれるために、あなたはここに出てきたんだよ、ブランチ!
なおも続くシャッター音に不機嫌をつのらせ、
「カメラよしていただかないと……話せないよ。はじめないっ!」
と逆上、席を立つそぶりをみせるあたりなど、
「(部屋の明かりを)暗くして。ミッチ、お願い、さもないと怒るわよ!」
まさにレディ・ブランチさながらの傲岸ぶり。「シャッターをよしていただかないと」などと「お願い」めいた丁寧語を使うかと思いきや、即ギレ。ああまで客観性のない「駄々」を公衆の面前でこねられる、という点にブランチ的パラノイアを感じてしまう。
あの人のさもしいところは、「出ていくぞ」という恐喝行為を真っ先に示したところだ。本気で出ていくわけではないのだ。そこまでは思っていないのに、自分が気に入らないという一点だけで「俺がいなかったら困るんだろう?」という恫喝を簡単に、平気でやってしまう。それは自分の権力確認行為に他ならない。そういうことで心の平静を得ようとする。そこが、さもしい。
司会者を睨みつけ、「しっかり君ィ、コントロールしろよ!」 と西川社長が叱りつけたとき、「こういう怒声、いつかも聞いたな」と感じた。なんだっけな。
しばらくして冷蔵庫を開けた瞬間に思い出した。外務大臣時代の田中真紀子の声だった。
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