ハッカビーズ スペシャル・エディション [DVD]

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 久しぶりに「やられたなぁ、すげーなぁ!」と度肝抜かれた映画に出会えた。
 もうみてる間これ全編「CRAZY!」てな気分。 『スリー・キングス』のデイビッド・O・ラッセル監督による、
なんとも贅沢なキャストを配した群像劇。ダスティン・ホフマン、リリー・トムリン、ジュード・ロウナオミ・ワッツイザベル・ユペールそしてマーク・ウォルバーグという
クセのある面々がずらりと揃ったクセモノ映画。


 現代社会に生きる人間が、知らず知らずのうちに抱えてしまう「歪み」、産み出している「ひずみ」を、独特の映像表現と音楽的なまでにリズムのいいダイアローグでポンポン描き出して行くんだが……そのテンポの心地よいこと! そのテンションの高いこと! 
 あざといまでの演出と、一歩間違えば説教臭くなりがちな テーマを、うまくエンタテインメントとしてまとめている。 シニカルな「ユーモア」と知的な「毒」が たっぷり添えられているのがいいんだろうな。


 日常の社会生活を営むうちに、誰しもがいつのまに身に着けてしまう「欺瞞」や「嘘」。 いつのまにか、自分が本当は何をしたかったのか、 何を欲しがっていたのかすら分からなくなっていき、 その状況状況に適した「殻」で都合のいいように自分を覆っていってしまうような現代。 そんな「殻」を監督のO・ラッセルは 挑発的なセリフとトリックたっぷりの演出でどんどんはぎ落としていく。


 なんといってもジュード・ロウの演技がいい。一言でいえば「化けた!」。こんな知的でクレージーな芝居のできる人だったんだなあ。「スカイ・キャプテン」のようなアホみたいな役ばかり続き、「アビエイター」では「何もあんたでなくても」というような端役で、随分前にその美貌を活かして退廃的に演じた「オスカー・ワイルド」のお稚児さん役が唯一のはまり役という印象しかなかったが、 いやー節穴でした、私。
 今回のキャストの中で最高の切れっぷり。素晴らしい。 あとなんといってもリリー・トムリンですね。イマイチ日本では知名度の低い人だが、その容貌はもう「魁偉」。広がるんだ上に下に右に左に。「面妖」という言葉がピッタリ来る。 これはもう芸です。出てきただけで、画面いっぱいになんともいえないおかし味がでる凄い役者。ナオミ・ワッツもご贔屓マーク・ウォルバーグ(老けたなー!!)も今までの中で最高の演技じゃないか?


 一番最後のクレジットで、このストーリーに対する 監督からの結論が出ます。 もし気に入ったら、エンドクレジットになっても最後まで席を離れない方がいいですよ。


(と、ここで4年経過)


 あっはははは、今は2009年の七月なんだけど、「うーん、最初に書いたブログってどんなんだろう?」って思って見てみれば。なんの成長もないけれど、一般的な映画評論家の口調気取って書いてますね、はっずかしいったらありゃしない。こういうのを残しておくのも一興か。まあ、今日の日記も大して面白いこと書けてるわけじゃありません。精進あるのみ。ハクオーさん、4年も続きましたよ。最初は20ぐらいだったヒット数も、一日500ぐらいになりました。もっと読者を増やせるように、頑張ろう。