どしゃ降りの中、八重子を想う

いい写真なくて残念

今日は古典芸能、それも古い新派や演劇が
好きな人しか興味ないような話。
え? いつも興味ない? ですよね、なので
居直って自分のために記録。 

記録的集中豪雨となったこの日、
NHK教育で日曜夜に放映された
芸能花舞台』を面白く観た。
特集は先代・水谷八重子。昭和を代表する女優の一人である。
もうよっぽど演劇ファンしかその名は知らないだろう。
私もリアルでは殆んど記憶がない。
後に映画や舞台が好きになって
杉村春子山田五十鈴と並ぶ日本の三大女優と
並び称されていることを知り、にわかに興味を持ったのだ。


彼女がどれだけすごい女優かを
書いているともうキリが無いし、今までに散々書かれている
ことなのでここでは省く。私が唸ったのは
番組中紹介された『明日の幸福』という喜劇のことだ。


いやー面白いのよ、すごいのさ掛け合いの妙が。
花柳章太郎(新派の大名優)演じる老母との
やり取りなんて気取った新派のイメージを覆すもの。
章太郎タックルして八重子吹っ飛んだりするんだもの。
まんま伊東四郎とか小松正男の世界。
二人の「ババアコント」はクラスの違う
面白さだと思ってたけど…。
いや、彼らはこのへんも参考にしてるわけね。なるほどね。


元をただせば浅草喜劇とかもあるのかもしれないけど、
調べて見ると歌舞伎だって戦後しばらくまでは
どたばた喜劇みたいなことよくやってたみたいじゃないの。
番組中で2代目・水谷八重子(旧・良重)も言ってたが
「こういう喜劇も新派はしょっちゅうやってたんですが
出ては消えて…」だって。ああもったいない。


現・八重子も新・勘三郎もおねえちゃんの
波野久里子も本質的に喜劇が上手い役者だ。
うーんものすごい私見だけど、今の時代
「佃の渡し」とか「唐人お吉」とか観たいと思う人
あんまりいないんじゃないだろうか。貧乏臭いの。
こういう喜劇をどんどん掘り起こして
ガンガンやる。お得意の串田ラインとか
野田ラインの役者ドンドコ入れて。
それで3部制にずっとして
一幕だけ古典的な泉鏡花久保田万太郎の世界を
紹介する…というのが
生き残りをかける新派の最適のやり方の
ような気がするがどうだろう。


はい、まったくポピュラリティのなさそうな
ネタですいません。