名監督に敬礼!

コピーは「燃えろ女の欲望、悪の限り」

ああああ日にちがドンドン経ってしまう。
書いておきたいので書いちゃうが(何を)
去る8月27日、東銀座は東劇に
先ごろ亡くなられた野村芳太郎監督の
上映特集に行ってきた。
見たのはあの、「疑惑」。


代表作は『張り込み』『砂の器
八つ墓村』などだろうか。
シリアスでサスペンス色の強い
題材を多く取り上げている印象が強いが
(『震える舌』なんてトラウマだもの、うちらの世代)
渥美清主演のコメディ『拝啓天皇陛下様』とか
コント55号の映画シリーズなども多く作っている
職人肌の監督さんだった。


『疑惑』は何度見たか分からないけど
劇場はこれが初めて。こんなの初めて。
結構広い場内は老若男女(言いにくい)、
幅広い層で5割がたはうまっていたか。
品のよさそうなおば様方がパラパラと。
「ついてこれるかしら」
「ドン引きじゃないのかしらん」と
つい余計なお世話なぞ感じながら。


さて場内暗転ワクワクドキドキ(死語)
なんと特別おまけで当時の野村監督の作品群の
いずれか予告編が観られるのだが
(放映までどれにあたるかは分からない)
それがなんと「鬼畜」。大当たり。
いきなりノイローゼ気味の小川真由美の蒼白な顔の
大アップ。うぎゃあぁ!!「疑惑」観れた上にこんなものまで。
1,300円、安い。


さて『疑惑』だが
いやーーーーーー。何度観ても
すばらしい。いろんな見逃していた発見がありました。
柄本明超アフレコ下手だなー! やっぱ舞台の人だわ…」
「スタイリストは矢野悦子だったのかー!」
「刑事役の新田昌玄セリフ重いよ、やり過ぎだよ、ジャマジャマ!」
「裁判長の内藤武敏うまいねえ渋いねえ。今こういう人いないねえ」
なーんて。


あとやっぱり山田五十鈴ですね。ベルちゃん。
クラブのママの役なんだが
「女が金目当てで男を狙うのは当たり前だろうッ」
ってなセリフがまさに「立て板に水」な勢いで
口からこぼれる。すばらしい。ホレボレしちゃう。
おもわずカメラがアップに寄ったのもわかる。
女同士の派手なやりとりばかりがクロースアップされるが
きちんと人間が描かれていて、
「極妻」シリーズなどとは一線を画す映画だと思う。


素晴らしい映画財産残してくださった
野村監督、ありがとうございました。
合掌。