携帯電源は切って寝よう

日頃の飲み疲れを解消すべく、
たっぷり睡眠を取ろうと思い早めに床に就いた
ある涼しき夜。


一つの教訓を得ました。
そんな夜は
「携帯の電源を切ってから寝ましょう」
エルム街の悪夢じゃないけど、
フレディはバスタブ以外からも現れます。


AM0:00.
ようやく脳細胞が「レムってみる?」と
私を睡眠の深淵に引きずり込もうとしたとき、
ノイジーな電子音とバイブレーションが
私を叩き起こす。
それは友人・アキからの電話。


開口一番、「同棲始めるかも」……。
その声はハッピーでツキまくっている人特有の、
傲慢なほどの「天真爛漫さ」に満ち満ちて。
あ、嫌な予感。


昔なにかの本で
「押し売りが来たらいらないと声高に主張してはダメ。
安いものをちょっと買ってサッサと帰ってもらう方が得」と
書いてありました。
先人の知恵には素直に従うとしましょう。
友人とはこれ互助会のようなもの。


「でねぇ、きっかけは
こないだの土曜日に彼氏の家に泊まったときなのよ」
「はぁ」
「優しいんだ〜。だってさぁ、ちょっと肌寒いな
って言ったら、あたしが寝るまでずーっと
体さすっててくれるんだよ〜。
こんな好い人いないよいまどき〜」
「き、きもっ! な、何それ? その人
介護士かなんかなわけ?」
「なんでよ」
「いやほら床ズレとか防ぐために
身体中さすったり揉んだりするらしいよ」
「なんであたしが寝たきり老人なのよ!」
「でもさぁ、普通服出すとか毛布だすとか」
「いゃ、服出そうとしてくれたんだけど…
(この間に言葉にならない照れるようなモゴモゴあり)
ちょっとでも離れるぐらいなら……寒くていい、
って言ったの」
「…………(以下、私の無言を無視して
ノロトークは続く)」


神様、私がいったい何をしたというのでしょう。


私はアキの末永い幸せを祈らずにはおれません。
なぜなら破局など起きようものなら間違いなく、
今回の数倍はあるであろうロングトーク
聞かされることは確実だからです。
ま、聞くけどねえ(笑)。自分も似たようなこと
してるのでしょうし。


アキちゃん、よかったねえ。お幸せに。