圧倒的技巧!

アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノ・リサイタル
(2月2日・東京オペラシティコンサートホール 19:00〜)
http://www.japanarts.co.jp/html/2006/piano/gavrylyuk/


演奏を聴いていて、心臓の鼓動がドンドン速くなっていくという経験を久しぶりにした。
このピアニストの「超絶技巧」は、ライブの聴衆を熱狂させる確かな音楽性がある!
なーんてカッコつけてみましたけどね、スンゴイですよ、このピアニスト。
圧倒的なヴィルトゥオーゾショパンエチュードでみせる技巧の冴えはスリリングで、
今やピアニストに対する形容詞としては死語の感すらある
「デモーニッシュ」な雰囲気も、時折感じさせてくれて
私は正直ゾクゾクした。興奮した!
 と、ここで気をつけなければいけないのは、超絶技巧が目立つピアニストというのは
「曲芸師」「サーカスじみて」「音楽性にかける」などと
うるさがたのクラシックファンからイチャモンつけられやすいのだが、
(実際そういう評判もこの人があるようだ)私は、ガヴリリュクには
そういうテクニック自慢やメカニック・ピアニストという印象は持たなかった。


 最初に披露されたブラームスの間奏曲の、繊細な内声部の表現と
美しい音のナイーヴな響かせ方にも感動したし、何よりも曲自体の持つ
「美」を、楽譜から音楽に「再表現」することに心を砕いている精神を強く感じたからだ。
それがときに理性的に過ぎるきらいもあり、全体的なバランスを心がけてるのはわかるが
激情的な部分が燃焼しきれないもどかしさもたまに感じられた。
しかし、それを補ってあまりある美的な彼ならではの音楽が、私を魅了したのだ。


 あはは、つまらない音楽評みたいですね。でもマジに感動しちゃったから
仕方ないな。これで21歳ってんだからオッソロしい! これからが勝負だと思う。
リヒテル的なものを目指すのか、ポリーニのようにいくか。
周りに煽られることなく、マイペースに伸び伸び育っていって欲しい。
「これはクラシックピアノではない」と揶揄する向きもあるでしょうが、
アンコールでの「結婚行進曲」(作曲:メンデルスゾーン/編曲:ホロヴィッツ)は
圧倒的超絶技巧は凄まじかった。鳥肌が立った。ホロヴィッツ
古めかしいレコード録音でしか知らない世界が、すぐそこにあるという現実に、
私は唖然とするほかなかった。人生でこんな演奏に出会えることは
滅多にあるものではない。本当に、ありがとうございました。
是非一度、ピアノ好きな方はきいてみて欲しい。


<スケジュール>
2月4日:ヨコスカ・ベイサイド・ポケット 15:00〜
2月5日:彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール 15:00〜



●「寝た子を起こすな」


「ドウシテクレヨウ……ドウシテクレヨウ……」
頭の中完全“呪怨”状態でヒートアップしますね、
長距離移動の時の最大にして最高の不幸な偶然、「泣きわめく子供」が
近くに座ったときのことをちょっと今日は書いてみたい。
結構この根は深いよ。


 ブログお休みの間、いろいろ電車にも乗りましたがまあよく当たりました。
泣くガキ・叫ぶガキ・走るガキ……ああもうなんとか出来ないもんだろうか! 
「子供は遊ぶのが仕事なのよう」「病気するよりはいいわよねえ」「オホホホホホホ」
そんなバカっ母がゴマンといることを思い知りました。
確信犯的に「無頓着」を装うんですね。「あらうちの子うるさかった?」てなもん。
「周囲に迷惑をかけてることを気づいてないふり」をする親の多さ、勘弁してくれー!!
 いや、わかってますよ肩身の狭い思いをされて、行きたい所も我慢している
キチンとした親御さんもいることは。(などとさりげなくフォロー)
でもねえ…………移動時間を睡眠時間にあててスケジューリングしてるときの
シャウティング・チルドレンは辛いのよ。マジで。うひぃ……。
乗物協会とか(あんのかそんなもん)で「1便1車両は子供専用車をつくる」規則とか
作ってくれないだろうか。そこに全部子供は押し込んじゃう。
子供なんて体柔らかいから平気よ、平気。小さいうちから「すし詰め車両」を
経験していかにお父さんたちが偉大か教え込むのもいいだろう。
もしくはグズる子は料金倍ね! そうすりゃ無神経な親もなんかアクションするだろう。


 しっかし……子供って「喜怒哀楽」のすべてを
物凄い速さで行ったり来たりする生き物なんですね。
<サンプル>
(ほらお菓子よ)キャッキャツ!→(もうないのよ)ブゥ〜ウウゥ〜!→
(いい加減にしなさい)エッ……ヒッック……→ウギャアアアァァ!!!、号泣。みたいな。
これをエンドレスに繰り返す子供、恐るべきパワーです。
あとこういう感情の振幅って波のように他の子供に伝染するのですね。
他の子供静かに寝てるのに、なぜか一人がわめくと
おもむろに起き出して「ウッ……アッ……」なんてやりゃ蛙の大合唱。助けてッ!!!


 もうこういうときの私、心の中で
「いますぐ日本猟友会呼べッ!」
「車掌、麻酔銃持ってこい! 麻酔銃!!」
クロロホルムしみ込ませて……クロロホルム……」
なーんて一人つぶやいてみたり。そんな呪いで子供落ち着くわけもなく。
「まあ、あんたもそんな薄着して歩いてんのが悪いんだよ、犬に咬まれたと思って諦めな」
蟹江敬三演じる悪徳刑事に説教されるレイプされた女のような惨めな気持ちで、
「もうこれは諦めるしかないのね……」と思い直し「怒っても仕方ない」
「この方々が日本少子化を必死で食い止めてくださってるのだ」
「この子らが大人になるころは、一人当たり15人ぐらいの老人を
背負わざるをえないのだ、なんて可哀そうに……」
などと一生懸命向うを落とすこと考えて、心の平静を取り戻そうとしたり……ああ疲れる。
 罪を憎んで人を憎まず、自分もこういう年頃があったのだから、
朝日新聞の「声」欄に寄せられるご年配の方のようにしめたいものです。
それでいいのか。


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加藤芳郎さんのこと


訃報からちょっと経ちますが、
週刊文春」(2月2日号)の高橋春男氏の「いわゆるひとつのチョーさん主義」と
週刊朝日」(2月3日号)の山藤章二氏の「ブラックアングル」で
それぞれこの偉大な先輩を追悼するかのように取り上げられていたのが
とても印象的だった。それらは愛があって、敬愛の気持ちがしみじみと
感じられて、加藤さんの徳のようなものが感じられた。
 私は加藤さんの漫画に慣れ親しんだ世代ではない。NHK「連想ゲーム」での
司会ぶりが最大の思い出だろうか。日本人離れした、不思議な大きさと
ユーモアを人柄から感じる人だった。なんていうか、
イタリア映画で片田舎の靴職人なんかを演じていても様になるような、
そんなおじさんだった。
 後輩の風刺漫画家、それも結構なベテラン二人のオマージュを見て、
不思議に私は胸が熱くなった。


●今日の一食
新宿3丁目「クレッソニエールのアミューズ」(フランス料理)
http://a-shinjuku.com/osusume/shop_view_osusume.html?sid=9490



ここ、前も紹介しましたがさすがに皆目ざといですね。
週刊文春」でも「ブルータス」も早々と取り上げて
着実にこんできてます。早く行かれたほうがいいですよ。
酒飲み、食いしんぼならトータルで満足することうけあい。
正しい「ビストロ」としてみんなでガヤガヤ呑んで食って。
ハウスワインで充分美味しいですから、4人以上でいろいろつまんで
気取らず過ごすならいいですよ。なによりリーズナブルを求めるならここですね。
これはオードブルとメインとの間にでてくるサービス品の
「クレソンのソルベ」。苦味と甘みの面白いマリアージュにビックリしました。