明日は眼鏡を買いに行こう

　いやあ……どーしてもどこにあるのか分からないんですよ、眼鏡が!!　絶ーッ対に部屋のどこかにあるのは分かっちゃいるんだけど……こないだからずっと探しているのに見つからない。自分でも呆れてしまうのだけれど、あああ分からないんですよお、何処なの眼鏡（涙目）！　思えば私は部屋の中で物をなくす名人だった。小さい頃から「鍵がない」「財布がない」と出かける直前にアワアワ慌てては「落ち着きなさい！」と母・フジエに叱られては涙目で探していた。ああまったく進歩していない32歳崖っぷちライター白央篤司……。衣替えなんてもう最悪ですよ、夏物・冬物なんて｢あ、あれ着たいな｣と思って次のシーズンにパッと出せたなんてことほっとんどないもの。片方しかなくなった靴下なんて人生で何十足あることか……。
　と、いうわけで私はまだ眼鏡を探している。明日には見つかるかな……眼鏡と一緒に最近大切なものもなくしてしまった。なくなったものの大切さはなくしてみてはじめて分かりますね、などと陳腐なセリフをイージーに使ってしまう時点でライターとして失格な気がするが……。大分落ち込んで路頭に迷ったような気持ちが３日続いたが、もう大丈夫だ。ないならないで仕方ないと前向きに考えられるようになってきました。明日までなければ、また眼鏡を買いに行こう。全力少年でも歌うか、もう中年だけどさ。

○追記
井上陽水の「夢の中へ」、つい探し物しちゃうときに口ずさんでしまいますが、この歌って「家宅捜索」のことパロディにしてるという噂があるようですね。そう、ハッパ探している捜査員に「見つけにくいものですか」「まだまだ探す気ですか」と陽水さんがあの声で語りかけているかと思うと、なんとなく可笑しい。こんなことも眼鏡は教えてくれました。