6月の俳句日記

6/4
品数の増すごとに楽し夏薬味

6/5
夏の雲その雲かげに人が逝き

長門勇さん、老衰で死去。享年81。古谷一行金田一シリーズの警部さんが私は大好きだった。合掌。

6/6
つる草の見上げたる先に雲の峰
6/7
無為なれど髭だけは伸びて西日かな

6/8
荷が届き判求むひとの玉の汗

6/9
とどこおる我なぐさむる青き梅
梅漬けは鬱の祓やてなぐさみ

6/10
梅雨空や花のまことのいろを知り

6/11
五月雨や葉裏に虫は休みおり

6/12
梅雨の朝百十六の翁逝く

※世界最高齢の木村次郎右衛門さん死去。明治30年生まれ。ウィキに「19世紀生まれの男性の最後の生き残り」とあって結構、衝撃だった。それはどんな思いにひとをさせるものなのだろう。自分は多分絶対といっていいぐらい、昭和の最後の人間や20世紀生まれ最後の人間にはならないだろう。もしなったら、どんな気持ちだろうか。そのときの年齢にもよるだろうが。

6/13
新しょうが一輪ざしのすずやかさ

6/14
昼灯りはや沖縄は梅雨あけと

6/15
梅雨晴間あまたの窓に白き布

6/16
鮎を焼くその間のみの無もありて

6/17
眩しきを歩き楽しみ汗みずく

6/18
睡蓮のゆれた葉の下鯉二匹

6/19
アイス代賭けて勝負の子等の顔

6/20
日の終わり雲の切れ間のゆやけかな

6/21
灰色の空にのぼるや鯵の煙

6/22
雨しずく梔子より落ち香をはなち

6/23
夕立を逃れる運を今日つかい

6/24
ひまわりの寝顔を知るや昏き朝

6/25
あの星はいつの光か夏の夜

※作家、脚本家のリチャード・マシスン、死去。『ある日どこかで』は大好きな作品だった。

6/26
渋茶呑みこれなればこその水羊羹

6/27
波紋ひとつ見あげれば雨波紋消え

6/28
目で追えば虫急ぐ先に百日紅

6/29
白百合や将門塚の祈るひと

6/30
冷麺の盛りかざり終えひとり分

水無月や破邪の祈りの小豆粒