七月の俳句

 
 今月も続けることができました。ホッ……。
 さて文月、第1週目がものすごく暑かった…! 酷暑どころか狂暑の予感にゲンナリしたものの、一転して次の週からは割に過ごしやすく、冷房を使う日も少なく済んだんですね、電気料金見てまたホッ……。最初の連続夏日がいいショック療法になったのかな。

7/1
弾丸の半袖短パン山開き

 富士山が世界遺産になって大賑わい。「弾丸登山」なんて言葉、初めて聞きました。まあこれは川柳ですね。はい次。

7/2
曙光から刺すほどになりて半夏生

 半夏生。「夏至から11日目。7月2日ごろにあたる。このころから梅雨が明け、田にカラスビシャク(半夏)が生えるのを目安に田植えの終期とされてきた」と辞書にあります。いろんな言葉に出会えるのが俳句の妙味だなあ、と改めて。

7/3
黒揚羽追う子供もなく神宮前

7/4
夕立やアパートの軒の運不運

7/5
炎天や道草の増える無駄遣ひ

7/6
梅雨明けや青パパイヤの皮をむく

7/7
汗みずく蛍という名の酒を呑む

 今年の七夕はゲリラ豪雨があったものの、晴れましたね。

7/8
はたた神まざりたいのか手巻き寿司

 はたた神…激しい雷のことをこういうそうです。漢字で書くと霹靂神。霹靂だけで「かむとけ」、落雷の意味とも。

7/9
隣人を身近にさせる燕の子

 このあと1週間ぐらいで巣はからに。ちょっとさびしかったな。

7/10
あはれやな木の無き町の迷ひ蝉

用もなく無聊の果ての蝉時雨

7/11
のどぼとけ生き物の如く麦茶干す

 これ、なんとかもうちょっと良く出来ないかと随分推敲したんですが、およばず。くやしい。

7/12
夜濯ぎや飛来する蛾が時をとめ

 夜濯ぎ、これも夏の季語。夜の洗濯のことです。本当は洗ってる段階でしょうが、干すことにも使っている俳句が多々見られたので、こう作ってみました。

7/13
梅酢水いろ無き野菜を夏に染め

7/14
冷や汁や我が家の味は墓の中

7/15
団扇手に老女三人長ばなし

7/16
端居するひと亡くなりて空家札

7/17
涼しさが続きて芋煮る紫陽花忌

 紫陽花忌は水原秋櫻子の命日、喜雨亭忌とも。

7/18
幼な子の提灯袖に青田風

行田きて胸すくような青田風

 ゼリーフライの取材で埼玉・行田へ。田んぼに久しぶりに出逢えて、うれしかった。

7/19
黄金虫そこでは土に還れぬぞ

7/20
金柑花香りに寄れば蜂二匹

7/21
腹見せて寝る蝉よぬしは満足か

7/22
鰻盗る五十女のできごころ

 57歳だかの女性が鰻を万引きしたとのニュース。食べたかったんだそうです。

7/23
朝涼しトマト煮詰める三文得

7/24
窓の友バジル手に摘み香を食む

7/25
夏の蟻スマホ片手にごっつんこ

 これも川柳ですね。ははは。ごっつんこ、と牧歌的に終わればいいのですが、この暑さではキレたりしてシャレにならないことになりそうです。

7/26
夏絣思い出すなり又五郎

7/27
紙一枚貼られ鰻のあばらやか

7/28
じんすけのをんながおろす新生姜

7/29
覚えなき体のしるし夜光虫

7/30
駒草や撮るひとはいかに足痛む

7/31
空蝉や帰り道にはちりぢりに