そして映画『未来の食卓』のこと

ゆうゆう 2009年 10月号 [雑誌]

ゆうゆう 2009年 10月号 [雑誌]

 

「笑顔になると、顔の筋肉が7つくらい動くんですって。逆に、不満そうな顔をしたとき、いくつ顔の筋肉が動くと思います?」
 読み出したらとまらない。プリングルスのようなトークがたっぷり、黒柳徹子さんのインタビューで幕を開ける雑誌『ゆうゆう』、明日発売です。
 今回も映画評を書かせてもらっていますので、ちょっとご紹介しようかと。


 私はひとに「何か面白い本、ない?」と訊かれたとき、ここウン十年ずっと『トットの欠落帖』を薦めてきました。入院されている方へのお見舞いなんかにいーんですよねえ。「あれ笑ったー」必ずそういうお便り頂きます。盲腸手術後以外でしたら是非。私も、何度読んでも声を出して笑ってしまう(特にすきなのは『富士山』『マウンド』の話。徹子さんは落語メーカーだ)。

トットの欠落帖 (新潮文庫)

トットの欠落帖 (新潮文庫)

 この方のすごいなーと思うところは、もうさんざっぱらインタビューなんてされ尽くしているわけです。ご本人もそれを分かってらっっしゃるんですね。必ず何か、他で言っていないようなエピソードを付けて毎回話されている。そういうところが、名司会者たらしめている点というか、徹子的機知というか。

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 さて、映画欄のことをちょっと。


 今回トップに紹介したのはシャーリーズ・セロンキム・ベイシンガーの二大オスカー女優が共演する『あの日、欲望の大地で』という映画。あのカッコよかったキム姐さんが、軽く「内田あかり化」している事実に衝撃を受けたもの、細やかで濃密な演技に唸りました。詳しくは『ゆうゆう』を読んでね。こんなフザけた口調では書いてないんだけどね(笑)。
 

 ちいさく紹介した『未来の食卓』のことを補足しておきたい。
  公開中のこの映画、「学校給食を全部無農薬の食材にしよう」という試みに出た、フランスの小さな村を取材したドキュメント。
 オーガニック、というと……誤解を恐れずに書きますが、ちょっと宗教めいた人達もいるんですね。「オーガニックじゃなきゃいけないのっ!」的ヒステリーのある人達。そういった「めんどくささ」はさほどない。
 ある種のオーガニック論者というのは、強制的な「ニオイ」がするんですね。禁煙論者に通じる「上から」感。
「まだタバコ吸ってるなんて……(時代遅れな!)」
「どんなに有毒なものを体に入れてるか分かってるの?」
「実利主義のために未来の大地を殺しているのよ」
 ごもっともなんですが、「あんたに言われたかないよ」という反感を持たせがちな目線。そーいうのはね、ちょっとあるけど、さほど気にならない。

(冒頭、子供が普通の給食を食べているシーンで何かを口にしようとするたび「ジャーン!」とマイナートーンの効果音が入り「塩化クロマトキン・保存料・腎臓不良、発ガン性の疑い」とかなんとか、いちいちテロップが出るのには閉口したけれど。あれは無音で淡々とやったほうが絶対もっと怖いのに。そういう素人臭さはある映画です)


 小さな村で起こった、オーガニック運動。
 いきなり全部、ってんじゃなく、ちょっとずつ村人たちの考えが変わっていくのが面白い。推進派も押し付けるのではなく、「どっちがいいと思う?」と、割とリベラルに接してくるスタンス。
「全部なんて無理よ! でも子供がおいしいっていったもので、お財布が許す範囲でオーガニックにしようかな、と思い出した」
 ある主婦が、そんなようなことをいっていた。
「臍帯血から、300種類の化学物質が検出された」
 そんな事実が報告されていく。
 農家や子供たちの健康被害、というところに胸を痛めた村長、決意の言葉がよかった。給食のオーガニック化に関して「予算はどうするんだ?」と詰め寄られた際、
「相談相手は、自分の良心しかない」
 うーん……私、青臭いようですが、シビレました。日本に帰化して衆院選に出てほしかった……。


 シネスイッチ銀座にて公開中。http://www.uplink.co.jp/shokutaku/




○付記

8月末。昨日、久しぶりに「肌寒い」と思った。今日は雨。「肌」が取れて、さむい。台風が来ているのだとか。帰ってもらいたい。


選挙のことをまったく書かないのもどうかと思うが……なんだかうまくまとまらない。私は民主党について余りにもモノを知らなすぎる。



 先日の、大久保の線路沿い。なぜか撮りたくなった。



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