最近の映画メモ・2

27日公開

 真っ先にお伝えしたい。
今月27日から公開の映画、『そして、私たちは愛に帰る』という作品が抜群に素晴らしい。傑作だ! 
公式サイト

 ああ、不勉強だった……ファティ・アキンという監督を、今まで知らなかった。『愛より強く』という作品でベルリン映画祭のグランプリまでとっていた人なんだそうだ……。

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 ライターとして、お恥ずかしい限りです。しかし、声を大にして伝えたい。傑作です! 本当にすぐれた、美しい人間ドラマだ。多くの人に観てほしいと思う。これについてはまた後日。
 今日は昨日の続き、最近観た映画をつらつら印象メモ。


○『シリアの花嫁』
2004年モントリオール世界映画祭グランプリ。エラン・リクリス監督作。二国間の複雑な事情と情勢の厳しさ、危うさ、悲劇は伝わるものの、花嫁たちが巻き込まれるラストの問題は単純なミス、タイミングのせいとしか思えず。


争いの映画が続く。


○『ワールド・オブ・ライズ

監督は『エイリアン』『グラディエーター』のリドリー・スコットレオナルド・ディカプリオ主演。素晴らしい主役演技だったと思う。しかしまあ……しょーがないんだろうが、現地ナースとのロマンスがどうにも不必要。ジェームス・ボンドじゃないんだから。この時点で「二流のスパイじゃん」「ありえない」と乗れなくなってしまう。それまで惹きつけられていただけに、残念。しかしそれ以外は素晴らしく良いテンポで魅了された。ラッセル・クロウの体型を含めた変幻自在ぶりに評価アップ。


○『セントアンナの奇跡
スパイク・リー監督作。
第2次大戦中の黒人部隊、そのイタリアでの戦いを描く。この作品は二つの奇跡を私たちに見せつける。ラストの奇跡に、私は強く心動かされた。こういう人生の奇跡を、在って然るべき、在ってほしい、と強く観客に願わせるドラマづくりにスパイク・リーは成功している。
戦闘シーン……いや、綺麗ぶるのはよそう。戦争という名の下の殺し合い、殺戮、無差別殺人、ひとりの人間が築いた何十年という人生の歴史を、意味なく一挙に無に帰してしまう行為――そういったシーンの連続が、きちんと「意味」を持って描かれている。どうしてこういうことがおきているのか、どうしてこうせねばならなかったのか、どうしてこんな行為がそのとき「普通」になってしまったのか。そこを忘れずに「ころしあい」が描かれている。その点だけでも素晴らしい。これはまたいつか別に。来年公開です。鬼が笑うか。


○『チェ 28歳の革命』
いうまでもなくチェ・ゲバラの伝記映画だが、キューバの表層的な歴史再現フィルムのよう。ゲリラ、いや、殺し合いのシーンに先の「意味」合いが希薄。こういうことがありました的映像。ベニチオ・デル・トロゲバラを演じるが、時々若い頃の古谷一行に見えて仕方ない。そう思ったのは私だけだろうか……。


一転して、女のドラマ。


○『キャラメル』
なんだかこの言葉を安売りしているようですが……これも傑作、素晴らしい! 成瀬巳喜男描く女の群像劇的な、密度の濃い情感が全編に漂う。レバノンという場所柄を感じさせない女たちのガールズ・トーク、その息吹。そして、「これがレバノンの今なのか」と知らしめる彼女たちの倫理観や貞操観念、その現代日本との落差に劇的面白みが増す。これもまた詳しく、いつか。


☆こちらもよろしく→「私の渡世・食・日記

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