フォーリーブス・青山孝史さん、死去。57歳。

安らかに

 驚かされた。ビックリした。
 と、我ながら嫌らしい書き方をしている……はい、私は昭和50年生まれ、いかに昭和系を看板に謳おうとも、さすがに青山さんのことは存じ上げません。57歳ときいて「早すぎる」とは思えど、どういう方なのか、どういうグループなのか、まったく肌で知らない存在だ。
フォーリーブス、調べたら私が3歳のときに解散だものなあ。彼らについて唯一覚えていることといったら……メンバーの一人、おりも政夫がよく芸能人水泳大会の司会をやっていた、ということぐらい)
 じゃあ何を驚いたのかというと……まずひとつに、ワイドショーに映し出されるファンの模様。これですね。出棺というのかな、棺を載せた車が出て行くときなど、すごかった。いや、凄かった。凄まじかった。


「ぎゃぁあああああ〜ターぁああああぁぁボォ〜ッ!!!!」
「いやあああああぁぁあああっぁぁああぁ!!」

 堰を切ったような、という表現がまさにふさわしい。無念の波が洪水となって群集から湧き起こっているかのよう。泣き崩れるというか、嗚咽というか……あの姿は(私の思う一般的な)日本人の悲しみ方と随分かけ離れていた。そこに、驚かされた。
 ニュース映像でしか見たことがないが、残留孤児の再会や、韓国などで子供を失った母親などがみせる姿に、彼女たちが重なった。行き場のない痛恨の情が体全体に駆けめぐるような懊悩の姿。そうだ、あれは昔のグループサウンズ(それよりフォーリーブスはあとなんでしょうが)のファンが、ステージで絶叫していたのと同じタイプの感情発露なのかもしれない。あの時代を起点として、歓喜や悲哀の表現も変質し、大陸的になっていくのだろうか。
 テレビの報道を鵜呑みにすれば、集まったファンはなんと2000人だったという。不確かな記憶だけれど、本田美奈子.のときで3000人強だったような気がする。その全盛が35年以上前の芸能人で、この数というのもすごいことだ。こんなに……人気のあった方だったんだなあ。
 そしてもうひとつ。参列した西城秀樹郷ひろみ野口五郎の、おざなりではない、心からのコメントが印象的。みんな一様にとてもショックを受けているのが、ありありと分かる。
 なんていうか……郷、西城、野口の三氏がですね、「少年の顔」になっているんですよ。50を過ぎた彼らが、思いっきり皺が刻み込まれた顔が、思いっきりあどけない。多分、いつも青山さんの前では、あんな表情だったんだろう。青山さん(彼らの言葉でいえば、「アニキ」)は彼らにとって、いつでもデビュー当時の自分に戻れるような存在だったのかもしれない。50歳を超えた彼らが、まるで大事なものをなくしてしまった子供のように憔悴している。それが、痛々しくも忘れられない。慕われていたんですね、青山さん。
 私は最近の芸能人の葬儀中継で、ファン、芸能界の仲間、その双方からこれほどまでに厚くとむらわれ、悼まれた人を他に知らない。そのことを、書きとめておきたかった。


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