歌舞伎・古典

2015年 3月7日『サワコの朝』ゲスト:坂東玉三郎

きょうの玉三郎さんの言葉は、非常に印象深いものでした。 ユーモアを交えて楽しくお話されているんですが、その来し方、女形芸、後輩に対する思い、今の歌舞伎界に対する思い…などなどが、強く浮かび上がってくるようで。30分もない番組でしたが、凝縮され…

6月歌舞伎座夜の部

25日、久々に歌舞伎座へ。『名月八幡祭』が観たかったのです。かなり長いですが、観劇メモを。 1:『蘭平物狂』三代目左近 初舞台 豪華な配役が楽しい一幕。 尾上松緑さん、何度か立派な大凧絵を見るような思いに。しかしこの芝居、何度見ても「ああ…刀を見…

八月納涼大歌舞伎・第二部『髪結新三』『かさね』

久しぶりに、歌舞伎を拝見してきました。 今日はその感想をつけておきたいと思います。○『髪結新三』 ひとことで感想を言うと……「THE 地味」。 いえ、なんというかね…「みんな一生懸命だなあ」「芸に真面目で真摯だなあ」そういう感想が浮かんでくるんです、…

中村勘三郎さんの急逝

あの朝は誰しも、「嘘だ………」という言葉以外、出てこなかったんじゃないだろうか。 なんと悪い冗談か。でも、ニュース速報が嘘をつくわけないもの、なあ……外国でエイプリルフールなら、かなりドギツイ冗談もマスコミはやるけれど、日本だものなあ……。 テレビ…

新橋演舞場12月大歌舞伎

中村勘三郎さんの突然の、訃報。 まだ、信じられていない。 「ありがとう」「ご冥福を…」「ゆっくりお休みください」…とか、そういう言葉が、実感として発せられなくて(あの人は亡くなったんだ、と心から得心して初めて感謝とか冥福を祈れるというか…)。 …

中村雀右衛門さん、死去。

役者、監督、歌手、またはスポーツ選手や作家…幅広い意味で「芸能」というものに携わる誰かに入れ込んだことのある方ならば、そのひとが例え活動を辞めたとて、「お元気ならば、生きていてくれさえすれば、それでいい」――そういうような感情を理解し得るのじ…

片岡愛之助丈に思う

朝起きたら歌舞伎のニュースがヘッドラインに。 片岡愛之助さんの私生活の……まあ「スキャンダル」ですね、それが取り沙汰されていた。 その報を聞いた瞬間まず私はどーにも不思議と、なんだか、嬉しくなっちゃったのだ。 なんというかまあ、 「ああ……『ニュ…

十二月日生劇場大歌舞伎

今、もっとも美しい歌舞伎の女形は、間違いなく尾上菊之助だ。 このひとの女形の舞台は、見逃したくない。心技体の充実、なにより一握りの舞台役者しか放出しえない、ある種の「きらきらしさ」を持っているひとだから。それはまるで蝶の鱗粉のような、光の残…

 歌舞伎座閉場式

どうなのかなあ。どうなのかなあ? いきなり興醒めなことを書きますが、正直……ノレなかった。 内容的には感動した点も、あるんだけどね。やっぱり「式」を2回やる、ってのが分からない。「式」ならば一度が本当でしょう(この日は同じ内容を午前・午後と2回…

『御名残四月大歌舞伎』その2

もう歌舞伎座内、写真を撮る人だらけです。 まあねえ。千穐楽だもんなあ。せんしゅうらく、ね。「千秋楽」だとどうにも感じが出ない。1年続いたさよなら歌舞伎座興行、これがホントの最後の千穐楽。 入り口から見れば道路はカメラに携帯片手の人ばかり。中で…

『御名残四月大歌舞伎』その1

「響き」なんだよね、やっぱり。 歌舞伎座の魅力というのは、この響きなんだなあ、と再認識。本当に久しぶりに1階席で拝見しましたが、役者の声が発せられてから天井、そして大向こうに響いて、また1階に帰ってくるこの感じ、この響き! 本当に歌舞伎座のそ…

新橋演舞場『染模様恩愛御書』その2

まず、なんといっても中村芝のぶ! うまいねえ……うまいなあ、嬉しくなっちゃうねえ。観ていて思わず、「ンまいね!」と呟いてしまいました。 しのぶ、と読むこの女形さん、二役演じて奥方と娘の二態を見せる。これがまあどっちも見事。「ものになる」っての…

新橋演舞場『染模様恩愛御書』

「BL歌舞伎」、なんだそうですよ。 BL=ボーイズ・ラブ。この言葉の解釈もいろいろでしょうが、うーん……私がこう聞いてパッと出てくるのは「やおい」とかそういう世界ですけどね。一部の少女漫画界を席巻している、キレーな男の子たちの恋愛もの、とでもいえ…

答え合わせ・四月大歌舞伎配役

ようやく四月の配役が決定に。 ツイッターに「吉積サイモン氏のブログに四月キャスト発表!」の文字が載ったのが10:45(吉積氏は歌舞伎座の会場係などをやられている方です。ハーフ的な顔立ちの方、見覚えある方も多いのでは?)。しかしこのブログ写真が全…

妄想キャスティング・四月大歌舞伎

また『連獅子』か……。 昨日からやってる「勝手に予想・さよなら歌舞伎座キャスティング」ですが、四月の第1部に『連獅子』が出るんですね。これは考えるまでもなく中村勘三郎、勘太郎と七之助で3人でやるんだろう。 うーん……もういっそのこと、歌舞伎座フィ…

妄想キャスティング・三月大歌舞伎

先日(19日)歌舞伎座に行ったら、3月4月の演目が発表になっていたんですね。ただし、「演目」だけ。そう、キャスティングはまだ。難航してるなー。20日には発表できそう、なんて声も聞こえてたんですけどね。 なんと3月4月は異例の3部制! うーーーーーーー…

 初春大歌舞伎 19日夜の部『春の寿』

異様というより、他なかった。 2年ぶりの舞台復帰。しかし体調が整わず、初日から休演(このへんのことは、2日の日記を参照してください→こちら)。 やはり無理かと諦めていたところ、19日になって「本日出演」の知らせ! こうしちゃいられないとマッハで駆…

 賞賛と怒り半ばする勘三郎の『京鹿子娘道成寺』

まず「道行」、これが実に…………良かった! 上手が上手に踊らない、という「うまさ」を分かって頂けるだろうか。伸びやかで、自然のリズムと体が溶け合っている。踊りに対して専心している、素敵な「道行」だった。 15、6歳くらいの「娘」が匂ってくるよう。貝…

まさに眼福、吉右衛門の梅王丸

歌舞伎座の裏に、たこやき屋があるんですよ。 『anan』などの出版社、マガジンハウスのちょうど目の前。少し早く歌舞伎座に着いたもんで、辺りをブラブラすれば、このたこやき屋がけっこうな賑わい。 いかにも近所、といった方々が、家族分だろうか、2、3パ…

 さよなら歌舞伎座、さよならなのか雀右衛門

初春大歌舞伎の初日。 東京・木挽町は歌舞伎座に駆けつけた私の心は揺れに揺れに揺れていた! こんな気持ちは……ああ懐かしの「受験発表」以来。求める「こたえ」がすぐ目の前にあるのに、直視したくない……でも早く安心もしたいっ! 私の懸念はただひとつ、「…

 見納めだった道成寺

当たってほしくない予感が、当たってしまった……。 歌舞伎俳優・坂東玉三郎、現代最高の女形のひとり。彼が自身のHPで、舞踊『京鹿子娘道成寺』の封印を発表した 「(今年11月の)八千代座の公演が最後と考えております」 熊本県の山鹿市にある芝居小屋、八千…

 坂東玉三郎 失望の特別舞踊公演

即断だった。 玉三郎が八千代座百年の記念公演として『京鹿子娘道成寺』を出す。そう聞いて、チケット購入を即決した。 変な予感がしたのだ。 「これが、最後かもしれない」 玉三郎の『道成寺』が「歌舞伎座さよなら公演」、その最終月(来年四月)の目玉に…

 「色」としての八ツ橋

古本屋で見つけた対談集、女優・藤田弓子さんがホストの「このひとにあいたい」が面白かった(1992 主婦の友社)。 そのなかで印象的だった、杉浦日向子さんの言葉。 「江戸の町を一言でいうと、雀の羽色なんです。雀の羽の色が色のすべて。つまり焦げ茶、白…